リーダーシップ

2024.03.13 14:30

未来からの「問い」にあなたはどう答えるか

Forbes JAPAN編集部
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こうした「問い」の姿勢を示すリーダーたちを私たちはすでに歴史の中で知っているはずだ。ひとりは、ナチスドイツの強制収容所の記録をつづったヴィクトール・E・フランクルである。彼の名著『夜と霧』の「生きる意味を問う」という章で、フランクルは私たちにこう問いかけている。

「生きる意味についての問いを180度方向転換することだ」「わたしたちが生きることからなにを期待するのではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ」と。

また、コロナ禍対策で活躍を見せた、台湾デジタル担当大臣であるオードリー・タン氏は、これからの人類にとって最も重要な問いとしてこのように考えている。「どうしたら、よき先祖になれるか」。さらに、「地球は先祖から譲り受けたものではない。子孫から借りているものだ」という、アメリカ先住民の言葉は今も生き続ける永遠の問いになっている。地球環境の持続可能性が叫ばれる昨今、現代を生きる私たちに重要な問いとして投げかけられているからだ。

こうして歴史の縦軸を遡れば、先人たちの様々な問いは、未来を探るコンパスとなり、私たちをここまで導いてきた。ならば、次世代をつくるリーダーたちは今、どんな見立てをしているのか。Forbes JAPANの今回の特集では、100人の賢人たちから問いを募った。是非、あなたが未来という新航路を進むうえでのヒントにしてほしい。

そして、何より大切なのは、自らを律することができるあなた自身の「問い」である。私たち一人ひとりの中から奮い立つ願いとしての未来への意思、そして、各自が想起する「未来からの問い」に対し、実効性をともなって答え続けていく姿勢。それが、各々の「問い」という因から生まれる、結実としての未来を想像する。ひいては、人類の個々の問いがつくり上げた多様性あふれる因果が相互に絡み、依存し合いながら、より色鮮やかな未来を映し出していけるのではないか。 

それではあらためて問おう。

「あなたの未来への意思と、あなたが未来から問われている『問い』は何ですか」


たにもと・ゆか◎Forbes JAPAN Web編集長。Bloomberg TVで金融経済アンカーを務め、日経CNBCキャスター、同社初女性コメンテーター。4000人超の世界VIPにインタビュー実績。2016年Forbes JAPANに参画し、22年より現職。

文=谷本有香

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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