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2024.02.03 14:00

米スナップが7万台の小型ドローンカメラをリコール 電池に発火のおそれ

日下部博一
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Photo by Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images

Snapchat(スナップチャット)を運営する米スナップは2月1日、同社が2022年に販売した約7万1000台の小型ドローンカメラ「Pixy」に、リチウムイオン電池の不具合による発火の危険性があるとしてリコールすることを発表した。

米消費者製品安全委員会によると、少なくとも4人の顧客がこの製品のバッテリーが「過熱して膨らんだ」と苦情を寄せており、軽度の火災が1件発生し、1人が負傷したという。

スナップが「フライングカメラ」と称するPixyの販売価格は185ドルから230ドル(約2万7000〜3万4000円)で、スナップは所有者全員に全額を返金するとしている。同社はPixyの所有者に対し、バッテリーパックを取り外し、米国環境保護庁(EPA)のガイドラインに従って廃棄した後に、ドローン本体を専用のウェブサイト経由で返品するよう求めている。

2022年に米国とフランスで発売されたPixyは、スナップが「カメラ会社」としてのリブランディングを開始し、ソーシャルメディアからの脱却を図る中でリリースされたと、同社のエヴァン・シュピーゲルCEOはThe Vergeの取材に語っていた。

この製品は、一部のレビュアーには好評だったが、スナップはわずか4カ月で販売を停止していた。

このプロジェクトが廃止されたのは、デジタル広告収入が減少し続けことで、同社の株価が2022年にかけて80%近く急落したためだと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じていた。スナップの株価はその後は回復し、2023年12月には年初来で76%高の15.75ドルをつけていた。

電動スクーターやEバイクなどに使用されるリチウムイオン電池は、損傷したり不適切に使用された場合に熱暴走と呼ばれるプロセスを経て発火する危険性があり、小さな火がすぐに制御不能の炎に変わる場合がある。

そのため、リチウムイオン電池は世界の都市部で深刻な問題を引き起こしており、ニューヨーク市では過去3年間に500件近い火災の原因になったとされる。先日開催された全米市長会議において、ニューヨーク市消防局長のローラ・カバナーは、リチウムイオン電池による一般市民と消防士への脅威が続いていると語り、その原因の一部が、「海外から流入する安価で基準を満たしてない製品の供給」にあると述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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