ヘルスケア

2023.12.23 13:00

「砂糖は敵」は間違い? 心理学者からのアドバイス

遠藤宗生
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カフェインは砂糖よりはるかに依存性が強いと言われているが、コーヒーの習慣的消費もまた類似のパターンを示すことが、心理学者のアサフ・マザールらによる2022年の研究で明らかになっている。

「多くの人がコーヒーを飲む習慣の影響を過小評価し、疲労の影響を過大評価している」とマザールは言う。「このことは、習慣がどのように私たちの行動を形作るかの認識を誤らせる可能性を示唆している」

もしあなたがコーヒー好きなら、自分が「フロー状態」(何かに完全に没頭している状態)なったときのことを思い出してほしい。おそらく、コーヒーを含めてあらゆるものが重要でなくなったと感じたはずだ。ここでの教訓は、環境と日々の習慣は、私たちの行動にしばしば思った以上に大きな影響を与えるということであり、食べ物の選択もその1つだ。これは、砂糖や「コンフォート・フード」(幸福感や安心感を与える食べ物)と呼ばれる食べ物との付き合い方を考える上で不可欠な知見だ。

自分のパターンをより強く意識するようになることで、そのパターンを変え始めることができる。何かの合図や気分に反応して砂糖の方を向くのではなく、自分が本当に砂糖を欲しているのか、習慣にしたがっているだけなのかを立ち止まって考えるべきだ。そうすることで、習慣のサイクルを打破し、散歩に行く、友人と話す、あるいは趣味を楽しむといった別の行動を選ぶことができるようになる。

2. 罪悪感なく甘いものを楽しむことを学ぶ

甘いものを楽しむべき時を選べるようになれば、それにしばしば付随する「罪悪感」は薄れ始める。このことは、砂糖とあなたの関係にプラスの蓄積効果を及ぼす。

食物に対する感情的反応、特に罪悪感と悲しみが、食べ物の選択に影響を与えうることを理解する必要がある。認知的評価理論と生物学的心理学の分野に関する研究では、これらの感情がコルチゾールの放出に影響し、その結果、砂糖の好みに影響を与えてフィードバックループに加えられることが示された。つまり、砂糖の入った食物を食べることへの罪悪感や悲しみは、砂糖の入った食べ物をいっそう欲することにつながるということだ。

ポイントは、一連の感情のシグナルを認識し、それに対して、ネガティブな摂食パターンを強化しない方法で応答することにある。そうすることで、砂糖を敵あるいは罪悪感の源として考えるのではなく、バランスの取れた食事を楽しむ数ある側面の1つとして理解することができる。これは、誕生日のケーキや、特別なディナーの後のデザートを、罪悪感をもつことなく楽しめることを意味している。

まとめ

砂糖は、私たちにとって祝い事と伝統、そして喜びの瞬間の一部だ。しっかりとした意識を持ったうえで自分を甘やかし、味覚を刺激し、食べることを喜び、良い時間を過ごすことで、食習慣全体を規定すること無く、個々の瞬間を楽しむことができる。このアプローチによって、食べ物と自分たちとの間に、より健康的で、持続可能な関係を構築できるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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