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2023.12.09 08:00

生成AIの普及が大衆にもたらす「実用的なスーパーパワー」

日下部博一
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Getty Images

OpenAI(オープンAI)が11月6日に開催した開発者向けカンファレンス「DevDay」で、OpenAIの首脳陣は、「スーパーパワー」をオンデマンドで利用可能にする構想について盛んに語った。その裏に潜むメッセージは、「人工知能(AI)の最良の発現は、人間の知性の拡張だ」というものだ。

AIテクノロジーのトップリーダーの1人も、この概念をさらに拡げるコメントを残している。NVIDIA(エヌビディア)の最高経営責任者(CEO)を務めるジェンスン・フアンは、こう語っている。「コンピューティングの歴史において、生成AI(ジェネレーティブAI)は、単一のものとしては最も重大なプラットフォームの転換だ。過去40年間を振り返っても、これほど大きな変化は存在しなかった。PCやモバイルよりも大きな変化だ。そして今後、インターネットをはるかに超える大きな変化となるだろう」

インターネットが本質的に、すべての機器を接続する上で基盤となるテクノロジーであることを考えると、その意味では、生成AIがインターネットを上回ることはないはずだ。それでも、AIは将来的に、インターネット内でやりとりされるすべてのものに影響を与えるようになるだろう。

AIと、その可能性(良いものであれ悪いものであれ)については、盛んに取り沙汰されている。だが、ここで一歩引いて、「AIが大衆に与える最も重要な影響は何か?」という問いを発してみよう。その答えは、OpenAI DevDayの中心テーマにある。すなわち、AIによって人間の知性は拡張され、あらゆるレベルで人の生活に影響を与える広範な情報が、指一本動かすだけで手に入れられるようになること。端的に言えば、AIが人々に「スーパーパワー」を授けるということだ。

多くの人にとって、AIは謎めいたテクノロジーだ。機械学習を用いて、コンピューターが何らかのデータやアクションを生成するものだという、ざっくりした理解はあるだろう。だが、AIが具体的にどんな形で自分の助けになるのかという点になると、なかなかピンとこないという人が多い。この問題に関しても、AIが「知性を拡張する」という考え方こそが、AIが具体的にどう生活に役立ち、どんな影響を与えるのかを把握する助けになるはずだ。

ChatGPTやBard、BingなどのAIチャットエンジンを利用したことがある人なら、これらのツールが、チャットボットに入力されたプロンプトに対して、AIが作成した答えを返す仕組みになっていることはご存知だろう。

さらに、まもなくすべての検索エンジンにAIが導入され、一般的な検索ツールにもAIの力が活用されるようになる。この新たなツールは、ユーザーが入力した検索ワードに関連する掘り下げた情報を提供することが可能だ。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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