デスクトップ版Photoshopに統合された新しいAIツールFirefly(ファイアフライ)を使った生成型フィル機能は、DALL-E(ダリ)のような他のAI画像ソフトウェアと同様に、テキストプロンプトを使って画像からコンテンツを「追加、拡張または削除」することを可能にする。
透明性を高めるために、アドビの新しいAI技術を使って作成された画像には、そのコンテンツの認証情報にラベルが付けられる。アドビはこれを写真のメタデータに添えられた「栄養成分ラベル」(nutrition labels)と呼んでおり、画像がAIを使って変更されたことを示している。
発表によれば、アドビは画像にAIが生成したことをラベリングするだけでなく、プログラムが「他人の作品、ブランド、知的財産に基づく」コンテンツを作成しないようにするために、権利を有するライセンス済みの高解像度コンテンツでのみFireflyをトレーニングしているという。
ジェネレーティブ塗りつぶしにはまだ制限があり、ベータテスト中である。商用利用は許可されておらず、18歳未満のユーザーは使えず、中国国内でも利用できず、英語のテキストプロンプトでしか動作しない。しかし、The Vergeが報じているところでは、アドビは「2023年の下半期」には一般公開する予定のようだ。
アドビは、AIを検索エンジンに組み込みチャットボットのようなサービスを提供する計画を持つグーグルやマイクロソフトに続き、自社のレパートリーにAIツールを統合するテック企業となった。アドビは今年3月にFireflyのベータテストを開始したが、同社は数年間にわたりAIを活用した編集ツールの実験を行ってきたと述べている。
AI技術の増加は、人間の労働者を置き換える能力について専門家が警告する中、一部で懸念を引き起こしている。最近の報告では、米国の労働力の最大80%に影響を与える可能性が示されている。今年初め、テック大手のIBMはAIが行うことができる非対面の職種の採用を停止し、約7800の職を削減すると発表した。
AIによる画像操作技術が、偽の画像を検出する人間の能力を超越して進化していることに対する懸念が高まっている。これは社会の不信感を増大させる可能性がある。最近では、バレンシアガのコートを着たローマ教皇フランシスコや、偽の逮捕時に権力者に抵抗する元大統領ドナルド・トランプの画像など、AIにより生成された画像がバイラル化している。アドビのツールがさらに多くの人々に偽画像の作成能力を与えることに対する懸念に対して、アドビのエグゼクティブはAxios(アクシオス)に対し「私たちはもうすでにその世界にいます」と述べ、ディープフェイクで悪用する意図を持つ人々はそれを行う知識をすでに持っていると語った。
今回のアドビの発表は、バージニア州アーリントンのペンタゴン外での爆発を示すようなAIにより生成された画像がバイラル化し、人々がペンタゴンで攻撃があったと信じるきっかけとなった翌日に行われた。国防省のスポークスパーソンはForbesに対し、Googleの検索結果やTwitterを席巻したその画像は偽物であると明言した。これは、政府当局がAIによる誤情報の危険性について警告を続けていた中での出来事だった。
(forbes.com 原文)