保険

2023.05.03 12:30

がん治療費の新たな捻出方法 「生命保険の買い取り」とは

露原直人
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こうした福祉制度は、日本では運用はされていないが、業者を介すことで、個人で「生命保険の買い取り」をしてもらえる時代になってきている。

とはいえ、いざ利用するとなると、自分の保険がいくらで売却できるのか気になる人も多いだろう。傾向としては、貯蓄性が高い(解約返戻金が多い)タイプよりも、定期などの掛け捨てタイプのほうが、買い取り価格は高くなる印象だ。

残存期間や年齢、がんのステージ、死亡保険金額によっても買取価格は変わる。



「生命保険の買い取り」は死亡保障があれば保険の種類は基本的に問わない。国内では、現在3社が手がけている。

最後に、図表2で紹介したその他の手段について触れておこう。

まず、保険について、重病患者の場合には「リビングニーズ保険金を受け取る」という選択肢もある。余命6カ月以内と医師に判断された際に、生命保険の死亡保険金額と同額(3000万円を限度)までを生前に受け取れるしくみだ。

保険金額から保険料相当分が差し引かれて支払われ、全額を受け取ると契約は終了する。

他の資産を活用する方法として、例えば自宅が持ち家の場合は、資産価値があればリバースモーゲージを使って、自宅を担保に借り入れたお金を治療費に充てることもできる。

※リバースモーケージ:自宅を担保に資金を借入れる。持ち家に住み続け、借入人が死亡したときに自宅を売却し、借入金を返済する仕組み。

気になる人は調べてみると良いだろう。

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そういえば、以前、実際にリビングニーズ保険金を受け取ろうと思ったところ、受け取りまでが思いのほか大変だったとの話を聞いた。理由は、医師が余命6カ月以内という診断書を書くのをためらうからだという。

余命の診断は、外れる可能性も考えるとためらわれるものだ。なかなかに大変かもしれない。ただ、いざというときに取り得る手段を知っておき、自分に合った選択ができるよう願いたい。

文=竹下さくら 編集=露原直人

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