この分野の中国における最大手の1社、Panda Selectedが2月22日、5000万ドル(約55億円)の資金調達をアナウンスした。今回の同社のシリーズCラウンドはTiger Globalが主導し、既存出資元のDCMやGenBridge Capitalらも参加した。
クラウドキッチンのアイデアは中国で生まれ、既にこの業態は拡大しつつある。ウーバー元CEOのトラビス・カラニックも、LA本拠のCloudKitchensを設立し、米国でのこの分野のパイオニアになろうとしている。
中国ではシェアオフィスや自転車シェアのビジネスが急拡大したが、レストラン分野でもフードデリバリーの普及により、巨大な変化が訪れようとしている。
Panda Selectedのキッチンは、レストランのテイクアウトメニューの調理に特化し、オペレーションコストを削減する効果を持つ。Panda Selectedはレストラン運営者らにサプライチェーンのマネージメント機能や、プロモーション機会も提供する。同社は中国版スターバックスとして急拡大中のLuckin’ Coffeeも顧客に持っている。
2016年設立のPanda Selectedは、既に中国の大都市で120カ所の施設を構えている。今回の調達資金により、同社は今後の8カ月で施設数を倍増させる意向だ。北京本拠のPanda Selectedの創業者でCEOのLi Haipengは、これまで累計8000万ドルを調達している。
今回の出資に参加したDCMチャイナの共同創業者のHurst Linによると、中国のフードデリバリー市場は330億ドル(約3.7兆円)規模であり、クラウドキッチンは今後、重要な役割を担うという。
オンデマンドのフードデリバリーは既に中国人のライフスタイルの一部になり、自宅での調理や外食に置き換わる存在になりつつある。
この分野で最大のスタートアップの美団点評(Meituan-Dianping)は、昨年9月に香港市場でIPOを果たし、42億ドルを調達。時価総額は530億ドル近くに達した。
米国のフードデリバリー分野ではウーバーイーツやドアダッシュ、グラブハブなどが知られるが、美団点評はアプリ経由で映画や旅行チケットの販売を行うなど、事業の多角化に乗り出している点が特徴といえる。
米国においても、今後クラウドキッチンの導入が進むことが予想される。また、美団点評が独自のクラウドキッチンを立ち上げる可能性もある。