英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票や米大統領選挙をめぐる国民の分断、またフェイクニュースや#MeToo運動の台頭といった一連の出来事は、この問題を如実に示した。そして今、大企業もまさにこの教訓を学んでいる。
「評判バブルははじけた」と語るのは、米コンサルティング会社レピュテーション・インスティテュート(RI)のスティーブン・ ハーングリフィス最高研究責任者(CRO)だ。RIは2006年以来、世界で評判の高い企業100社を集めたランキング「グローバル・レプトラック100」を発表してきた。今年のランキングでは、100社の評判スコアの平均が前年から1.4ポイント低下。これは、世界金融危機以後で初めての顕著な後退だ。
「信頼の危機が起きている」とハーングリフィスは言う。「ここ1年半の間で、私たちは戦略上重要な転換点に到達した。人々は今、『本当に企業を信用していいのか』と疑問を抱いている。そして3分の2の人々にとっては、まだ結論は出ていない」
ランキングは、RIが2018年1~2月に15か国23万人以上を対象に実施した調査に基づき作成された。対象となった企業は主に、500億ドル(約5兆円)以上の収益があり、調査対象国の人口40%以上に認知されている会社だ。
企業の評判が低下傾向にあることは懸念すべき問題だが、イメージダウンは単なる始まりにすぎない。「バブルの本当の影響は、企業が利害関係者の信頼を得るのがかつてなく大変になることだ」とハーングリフィスは指摘する。調査では、企業が正しいことを行っていると信じる人はたったの38.5%だった。
ただし、明るい結果もある。51%が今も企業に対しオープンな考えを持っているという結果だ。「人々は『私を納得させてほしい』と言っている」とハーングリフィス。「世界をより良い場所にするという自社のナラティブをうまく体現できる企業が、ランキング上位に入る企業だ」