アマゾンでの玩具の売上が、2016年に四半期あたり40億ドルまでに膨らんだ一方で、トイザらスは2013年以降、利益を生み出せていなかった。ただし、トイザらスにも失地回復のチャンスはあった。もう少し早めに手を打っていれば、このような結果は避けられたかもしれない。
世間がドットコムバブルに沸いた2000年、アマゾンとトイザらスは10年契約を結んだ。これはアマゾン上でトイザらスが唯一の玩具の販売業者となる契約で、トイザらスの公式サイトをクリックするとアマゾン内のトイザらス専用ページに飛ぶ仕掛けになっていた。
この取り組みは当初、アマゾンとトイザらスの両社にメリットをもたらすと見られていた。しかし、アマゾンはその後、トイザらスが十分な商品を確保できていないことを理由に、他の玩具業者らをサイトに招き入れ始めた。
トイザらスは2004年にアマゾンを提訴し、10年契約を終了させた。そして2006年に自社サイトを立ち上げた。しかし、その後のトイザらスの動きは遅すぎた。
書店のBordersも同じ過ちを犯した。Bordersも2001年にアマゾンにオンライン販売を任せる契約を結び、2008年に契約を終了したが、その間にウェブのビジネスをアマゾンに奪われた。アナリストは「彼らは未来を譲り渡してしまった」と述べた。
米量販店のターゲットはこの罠にはまらなかった。ターゲットも2001年にアマゾンにEコマースを任せる契約を結んだが、2009年に契約を解除。2011年に自社のEコマースサイトを立ち上げ、年間25億ドルをテクノロジーとサプライチェーンに投資すると宣言した。ターゲットのEコマース売上はまだわずかなものではあるが、ウェブ経由の売上は四半期あたり30%増のペースで伸びている。
その一方、トイザらスの場合は今年5月になってようやく、Eコマース事業の立て直しに向け、今後3年間で1億ドルを投じるとアナウンスした。しかし、彼らの取り組みは遅すぎたとしか言えない。
破産申請を行ったトイザらスは今、同社のブランド名の存続を目指してはいるが、「トイザらス」の商標は今後、他のオンライン業者の客寄せの看板として利用されることになるかもしれない。
最新の統計では米国人の90%が今も実店舗で買い物を楽しんでいる。しかし、小売業者を破滅に追い込むには、残りの10%が実店舗での購入をやめるだけで十分だ。米国では今年に入り、靴の販売のペイレスシューソースや子供服のジンボリーらが相次いで破産した。
トイザらスがもっと早く、大きな投資をウェブ向けに行っていればこの事態は防げたはずだ。しかし、トイザらスもまた他の小売業者と同じ破滅への道を歩んでしまった。