電子書籍が増えても、まだ紙は強し!

アマゾン ジェフ・ベソスCEO(Photo by David McNew/Getty Images)

電子書籍リーダーの登場やスマートフォンの普及により、着実に拡大している電子書籍市場。
紙の本の人気は根強いものの、一部のジャンルでは電子書籍が急成長している。

07年にオンライン通販大手アマゾンが、電子書籍リーダーの「キンドル」を発表すると、本をこよなく愛する人たちからは、「これで紙の本は終わりだ」という嘆きの声が聞かれたものだ。ところが、当時の悲観的な予測ほどには、電子書籍は世間に浸透していない。確かに、アメリカでは成人の半数が、電子書籍に対応したタブレット型端末や電子書籍リーダー端末を持っている。だが肝心の電子書籍は、350億ドル(約3兆4,200億円)にもおよぶ巨大な出版業界の23%を占めるにすぎない。米シンクタンク「ピュー・リサーチ」の調査によると、「電子書籍しか読まない」と答えたアメリカ人は全体のたった4%である。
とはいえ、電子書籍の市場シェアはジャンルによっても状況が大きく異なる。ノンフィクションや学生向けの教科書などは紙で購入されているもの
の、ハーレクイン社の女性向け恋愛小説は、売り上げの36%が電子書籍であった。
ミステリー小説は全体の32%、中高生向けのヤングアダルト系の小説も25%が電子書籍で読まれるなど、じわじわと裾野を広げている。


電子書籍化で進む価格破壊
2013年までの4年間、紙の本の価格がほぼ横ばいであるのに対して、電子書籍が右肩下がりで価格が下落している。一方、国際標準図書番号(ISBN)を取得した書籍の数は、紙と電子を合わせても09年と同程度だ。

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各国で広がる電子書籍市場
アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(写真)が発表した電子書籍リーダーの「キンドル」は、出版界に“黒船”と恐れられたが、日本でも120億ドル規模の市場の12%程度に留まるなど、電子書籍は予想ほど普及していない。

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フォーブス ジャパン編集部

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