「宇宙太陽光発電」の最新7動向 三菱重工はワイヤレス送電に成功

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NASAに投じられる予算は減ったが、宇宙開発の分野ではなお多くのイノベーションが期待されている。中でも宇宙空間でのソーラー発電については、活発に研究が行われている。

その実現には数十億ドルの費用と新たなテクノロジーの開発が必要で、時間もかかるが、想像するだけでもワクワクする話であることは間違いない。この分野の最新の試みを以下に紹介してみよう。

1. 三菱重工の取り組み
日本では、宇宙で発電した電力を地球に送電する技術開発プロジェクトが続けられている。三菱重工は今年3月、10キロワットの電力をマイクロ波に変換して、約500メートル離れた受信機に送る地上実験に成功した。しかし同社は発電効率については公表していない。

2. 宇宙からの送電システム開発
米海軍研究試験所の宇宙船エンジニアであるポール・ジャッフェ博士は、宇宙で太陽光を吸収し地上に送るモジュールを開発した。「サンドイッチモジュール」と名付けられたその機器は、上面で太陽光を吸収し、電子部品が中央部分で無線周波数に変換する。最後に下面のアンテナで地球に送り、電気に変換される仕組みだ。

3. 宇宙で使う次世代太陽電池を研究
米アーカンソー大学の研究者たちは、宇宙で使う太陽光発電技術の開発をNASAと共同で進めている。プレスリリースによると、新材料は太陽電池の効率を45%向上させるほか、製造コストを軽減でき、放射能への耐久度も上がるという。

4. 中国は発電ステーション構想
中国人科学者たちは今年初め、宇宙にソーラー発電ステーションを建設する構想を公表。2050年の完成を目指している。彼らは太陽エネルギーを24時間地球に送り続けるシステムを計画しているが、パネルの軽量化やコスト、そして建設のための輸送手段が大きな課題だ。

5. 米国エネルギー省の取り組み
米エネルギー省は宇宙ソーラー発電のアイディアに特化したウェブサイトを開設し、宇宙空間に太陽光発電装置を設置するというコンセプトを紹介している。いささかSFチックではあるが、可能性はある。宇宙には太陽光を遮る雲も空気も夜もないのだから、太陽光を全て利用できる。

6. スタンフォード大が開発のパネル冷却技術
太陽光発電においては、ソーラーパネルが熱を吸収するほど発電効率は低くなる。スタンフォード大学の研究者たちは、太陽電池の上に重ねた薄いシリカの層で太陽光を反射し、宇宙に放出する技術を設計した。これによって太陽電池は冷却され、発電効率が上昇する。研究者によるとこの技術で吸収装置を最大で華氏23度、冷却する効果が確認されたという。

7. NASAの“宇宙ソーラー工場”構想
NASAは1970年代からエネルギー危機を視野に入れ、宇宙にソーラー工場を建設する計画を立てていた。壮大な夢は今も実現されていないが、NASAが今後、宇宙でのクリーンテック推進に何らかの役割を果たすという期待は大きい。

編集=上田裕資

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