Forbes JAPAN 2026年8月号は、「10代とともに『未来をひらく』」特集。激動の時代を切り拓く「アントレプレナーシップ」をテーマに、小学校、中学校、高校らの先生を対象にした「『アントレプレナーシップ教育 未来をひらく先生』100人」のリストをはじめ、世界No. 1アントレ教育のバブソン大学で「起業道」を教える同大学准教授・山川恭弘へのインタビューを掲載。世界最先端の超効率 A I 学習「アルファ・スクール」の衝撃についてアルファ・スクール共同創業者であるマッケンジー・プライスへの独占インタビュー。世界的人類学者・ティム・インゴルドへのインタビュー記事なども掲載し、10代とともにアントレプレナーシップのあり方、意義、その後の生き方までを考え、彼ら彼女らの新たな挑戦をエンカレッジする企画だ。
本特集は、30歳未満の30人にフォーカスした「30 UNDER 30」特集、「起業家ランキング」特集、「ベンチャー投資家ランキング」特集、優れた非営利組織に注目した「NPO50」特集、多彩なアントレプレナーたちに着目した「NEXT100」特集、テクノロジー領域で活躍する女性30人に光を当てる「Women In Tech 30」特集、社会性・経済性を両立させる「インパクトスタートアップ」特集をはじめ、社会を多彩なアントレプレナーシップで溢れさせるための企画シリーズの最新企画だ。
高校生や大学生に向けた「アントレプレナーたちの物語」プロジェクト。4人の起業家たちの「はじまり」から見えてくる「大切にすべきこと」とは。
佐俣アンリ(以下、佐俣):ベンチャーキャピタル「ANRI」の代表として、さまざまな才能をもった起業家に投資をしていくなかで、今の問題意識は「素晴らしい才能をもった人たちがどこに向かうべきなのか」。スタートアップは選択肢のひとつになると思いますが、それ以外にもあるのではないか。背景にあるのは、最近、高校生や大学生からよく聞くキーワードとしての「スモビジ」。彼ら彼女らなりに「人生の最適解」を出していると思うので、むしろ夢を提示できなかった、我々側に問題があるのではないか、と。僕自身も大学生時代に、『チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える』という本を読んで「かっこいい」と思ったから現在がある。だから、今、高校生や大学生に向けて、NPOや政治家、大企業の人も含めた「アントレプレナーたちの物語」を描く書籍プロジェクトを始めています。書籍のテーマに合致する人たちに集まっていただいたのですが、僕は皆さんを「天才」や「超人」として描きたくない。成果だけを見たら「天才」「超人」と言えるかもしれませんが、皆さんがどのように構成されたのかをまず理解したい。今回は、それぞれのちょっとした飛躍の瞬間、その物語のはじまりを聞きたいと思っています。
自分を知るのに40年かかった
濵渦伸次(以下、濵渦):世界的な建築家やクリエイターが手がける唯一無二の建築を中心に、建築、テクノロジー、ホスピタリティを融合させた別荘を提供しているNOT A HOTELの代表取締役CEOを務めています。僕は今、42歳なのですが、最近やっと自分のことがよくわかってきた。でも40年かかったんです。
例えば、僕は21歳の時に、カフェバーをつぶして借金ができて、金利を学んだわけです(笑)。本当に一日もベッドで寝ずにデスクで生活して、1年で借金を返し終えた。これまでADHD(注意欠陥多動性障害)で何をやっても続かなかったのですが、「俺、頑張ったら、意外にやれるじゃん」と知って、その後起業して、30歳のタイミングで会社を売却した。これまで我慢してきたので全部の欲を成仏させようと、3年でお金を使い切り、「こういう遊びも好きだな」と。その後、36歳で、ZOZOで社長になるか、起業するか、というときに現在のNOT A HOTELを立ち上げました。
こうした経緯で自分のことを知ってきたので、今度は自分のために起業しようと思ったんです。NOT A HOTELでは、飽きやすいからモチベーション高く続けられるほうがいいと、自分の好きな建築やアートに携わりながら、新しい街で建築家とコラボレーションする新規事業を都度都度行っているカタチです。これならば自分が飽きずに一生続けられるだろうと。好きなことやってていいね、と言われるんですけど、自分のために起業しているからというだけ。ちなみに今でも金利に細かいですし、NOT A HOTELも事業開始初年度から黒字。ただ、行き当たりばったりで、40年たってから自分を知ったので、若い人は焦らなくていいと思いますね。



