濵渦:僕らは今、東寺のなかにNOT A HOTELをつくっているんですが、五重塔を当時つくろうとした人は、相当狂った人だと思うんですよね。でもそれが今では「資産」となっている。いつも僕が言っているのは、会社がつぶれても「良かったよね」と思える仕事をしようと。相当影響が出るので、もちろんつぶれないようにはしますけど。
反対に僕にはコンプレックスがあって、田舎育ちで、ブランドをつくれる人に憧れたと同時に、自分には一生できないだろうと。ただ、スティーブ・ジョブズの講演動画で「ナイキはスニーカーをつくる会社じゃなくて、アスリートをリスペクトする会社なんだ」という言葉に触れたとき、「誰を、どれくらい尊敬できるか」がブランドになると考え方が変わった。僕らは建築家、クリエイターを尊敬して、彼ら彼女らがいちばんつくりたいものをつくれるプラットフォームを提供すればいい。そうすれば、素晴らしい建築ができて、ブランドになって自分たちに返ってくる。尊敬からすべて始まっているので、尊敬の量次第で誰でもブランドはつくれるというのに気づいた。
そこから僕は本当に楽しくなった。僕は今がいちばん幸せなんですよね。朝起きて「今日も楽しみだな」と思えることがたくさんあるから。
東:確かにそうですね。最初の市長選挙のときに、なぜ勝てたのかと振り返ると、「市民を信じていたから」かもしれません。本当に小さな集会をたくさん開いて、市民の皆さんと対話をしました。話し合えば通じるし、市民だって変わりたいと思っているから。組織をつくって公認をもらってというのとはまったく違う戦い方でした。本来の有権者である市民の皆さん一人ひとりこそがこの街を変えるんだと信じた結果が、勝利につながったんだと思うんです。
佐俣:僕らも、「Changer Capital」というタグラインにしたのは、「変革者を尊敬して、資本で応援しましょう」と。「いろんな人を尊敬して応援できている状態」がかっこいいことであり、Changer Capitalだと定義したのが自分たちには良かった。自分たちがそう思い続けていれば、無限に尊敬が湧いてくるから。
僕は今、VC1、家族1、そのほかの活動1の「1:1:1」の割合で活動しています。会社も既存のVCとは違い、そのほかの活動もする会社に変えました。書籍プロジェクトや大学生相手のメンタリング、NPOでのボランティアなどがそのほかの活動です。ボランティアで子ども食堂でソーセージや唐揚げをつくっていることも、結構幸せなんですよね。仕事というか生き方として、家族とどうありたいか、社会とどうありたいかというものの総和として「幸せかどうか、それを続けられそうか」も大事な考えなんだと思います。その結果、今日もこうやって尊敬する「推し」のメンバーと語り合うことができたわけですから。


