佐俣:東さんのキャリアの考え方は、コスパ、タイパと真逆なんですよ。勝算がないほうを選ぶ。人はミスをしたくないし、早く結果を出したいのにもかかわらず。今回の国政選挙も、既存の政党からの支援を受けないことを選んだ。
東:実は今回の国政選挙でも、個人で大きな借金をして、金利がかかってます(笑)。でも確かに、勝てるからやるという発想はないですね。必要だからやる。それは、両親の教育があったかもしれません。親族で誰も大学に行っていない、もちろん政治家もいないという環境のなかで、「興味をもっていい」という自己肯定感だけは最大値にしてくれた。そのせいかコンプレックスというのがありません。私は今、核融合を実現しようとしているのですが、それは中学生時代からの夢なんです。「地球に太陽をつくれたらエネルギーの問題が解決して、人類が幸せになるんじゃないか」という単純な思考。市長時代も同様で「この街がより良くなったら、友達とかその家族とかみんなが幸せになるんじゃないか」と。人生のキャリアのなかで「I」という主語があまりないのかもしれません。
尊敬することから始まる
佐俣:東さんの自己効力感につながる話ですが、AI時代だからこそ「自分の好きなものを好きでい続けていい」「自分の好奇心を認めていい」という肯定感がいちばん大事だと思っています。先週も大学生相手に、15分×8人のメンタリングをやってきました。原石である彼ら彼女らには「あなたが将来的にやりたいことは正しい。長期的なことの解像度だけイメージしていきなさい。その間にいろいろと模索することが多いと思うけどね」とアドバイスしています。僕自身も27歳くらいまで本当にヤバい人だった。特性上普通だと思っているのですが、パワポやエクセルが触れず、文章がほぼ書けないという絶望的に苦手なことがある。これを自分に認めてあげた瞬間からすべてが回り出しました。「仲間にやってもらって、その分自分は構想や説得に責任をもてばいいのだ」って。自分の特性やコンプレックスを知り、自分でうまくプラスに変えることは大事かもしれませんね。それが将来的にやりたいことにつながるから。
髙橋:私は以前から濵渦さんのNOT A HOTELを尊敬しています。私は今、ものすごい勢いでコンテンツが消費され、量的なもののはかなさを感じている最中です。何百年も語り継がれる、自分の会社や顔と紐づく代表作があることがかっこいい。私はダルマ屋を始めて、この時代のかっこよさは「長く遺るものをつくること」。先日も、「金閣寺とモナリザのLTV(顧客生涯価値)がすごい」という話になり、確かになと。レオナルド・ダ・ヴィンチになれたらと思っているくらいです。


