文章を書くことは、私が手がけるほかの仕事とはどこか異なる感覚があった。自動化やブートストラップ(自己資金経営)といったテーマについて共有したいアイデアがあり、私は書き始めた。長年の経験によって、コーディングや事業を立ち上げることには自信があったものの、文章は別の話だった。
文章を書き始めたころ記事の1本に取り組んでいたとき、優れた編集者の力を知った。粘土の塊を彫刻の傑作へと変える(支援をする)人、あるいは、少なくとも私が安心して世に出せる形へと整えてくれる人である。アイデアと文章は依然として私のものだが、より明確に、より効果的に伝わるようになった。
年月を重ねるうちに、ほとんどの編集者が共通して備えている思考法があると気づいた。それは最近、AIが生み出す「ワークスロップ(内容のとぼしい成果物)」に関する文章の見出しを眺めていたときだ。「編集者のマインドセット」はAI活用に取り組む上で優れたツールだとひらめいたのだ。
大規模言語モデル(LLM)、エージェント、自律的なワークフローが爆発的に広がる中、人間の判断はかつてないほど価値を増している。最も成果を上げるリーダーは、AIを最も多く使う人ではない。必要に応じてAIの出力を取捨選択し、磨き上げ、退けることができる人である。
AIを使う際に編集者のように考える方法を紹介しよう。
大きな目的を見失わない
Forbesをはじめさまざまな媒体に寄稿してきて、各媒体にはそれぞれ異なる目的があることを実感した。
「良い記事は良い記事であり、うまく語られた物語はうまく語られた物語であり、調査報道のスクープは調査報道のスクープだ。そうしたものは多くの場所で機能しうる……だが、媒体ごとに感性も重点の置き方も異なる」と、The Atlanticの編集者スコット・ストッセルは指摘する。
優れた編集者は、媒体の目標を念頭に置く。同様に、優れたAIユーザーは、自分の仕事が向かう先を常に考える。その成果物は、組織のより大きな使命の中でどんな役割を果たすのか。AIツールにそれをよりよく果たしてもらうために、自分はどんな情報や文脈を提供できるのか。
たとえば、ChatGPTを使って、自社製品の新バージョンを告知するニュースレターの下書きを作りたいとしよう。私は、次の情報を含めたプロンプトを作成するだろう。そうした文脈が、LLMにより強い初稿を生成させる助けになる。
・出力の目的(見込み顧客に知らせる、関心を高める、売上を伸ばす)
・企業のより大きな使命(オンラインフォーム作成のような面倒な日常業務を、直感的なツールで楽にする)
・想定読者(個人事業主や中小企業の経営者)



