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2026.07.13 08:00

AIブームでも金需要が1%増に留まる理由と半導体業界の二極化

stock.adobe.com

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現在、歯科医療の現場から「金(ゴールド)」の姿が急速に消えつつある。

2026年第1四半期、世界の歯科医が歯冠や充填向けに購入した金の量は2トンを下回り、金業界の市場開発・業界団体である世界ゴールド評議会(WGC)が集計を始めて以来、初めての水準となった。代わりに使われたのはセラミックスだ。古代エジプトの時代から現代の歯科治療に至るまで、約3000年にわたり使われてきた金が、その役割を終えようとしている。

この小さな数字は、より大きな物語を語っている。そしてそれは、多くの人が金とAIについての話と聞いて想像する内容ではない。

一般に想定される筋書きはこうだ。AIは電力とシリコン(ケイ素)を食う。AIにはチップ(半導体素子)が必要で、チップには金が要る。ゆえにAIの設備投資は、湯水のごとく金へ資金を流し込むはずだ。確かにこの話はもっともらしく、筋が通っている。だが、大半は誤りである。WGCの「2026年第1四半期 金需要動向」によれば、テクノロジー分野全体で使用された金の総量は前年比1%の80.4トンから81.6トンへと増えた。増加率はわずか1%だ。これまで誰もが経験したことのないほど騒々しく、AIインフラの拡張に大量に資本が投じられる局面にあって、金のテクノロジー需要は実質的に横ばいだったのである。

つまり、金はAIと無関係なのか。あるいはこの横ばいの数字の下で、もっと奇妙なことが起きているのか。答えは後者である。

横ばいの数字の影にある綱引き

81.6トンの内訳を見ると、反対方向へ引っ張り合う2つの勢力が見えてくる。産業用金需要の最大部分であるエレクトロニクスは3%増の69.3トンとなり、2021年後半以来の高水準を記録した。一方でそれ以外は落ち込んだ。インドの伝統衣装(サリーなど)に織り込まれる金糸などを含む「その他の産業用途」は8%減少。歯科用途は下落を続けた。見出しの数字がほとんど動かなかったのは、一方の買い手が積み増す一方で、別の買い手が手を引き、その2つが概ね相殺したからだ。

WGCのアナリストは、エレクトロニクス市場が「2段階の速度設定」で停滞していると表現するが、この言い回しは的確だ。高速車線にあるのはAIハードウェアで、エンジニアは故障しない部品のためならほぼいくらでも支払う。低速車線にあるのは価格で勝負しなければならないあらゆる製品で、金の使用量の1gにも満たない端数すらコスト削減の対象として追い詰められ、削り取られる。

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