今回のフランスの「飲酒禁止令」は救急医療への負担軽減が目的だが、猛暑時のアルコール摂取の危険性は数多くの研究で明らかになっている。2024年に学術誌『Environmental Health』に発表されたレビュー研究によれば、アルコール摂取は主に体の深部体温を低下させる。また、脱水症状や皮膚の血流増加も明らかな影響として挙げられる。
アルコールと暑さの危険な関係
米医療法人セントルークス・ペン財団のウェブサイトでも、暑い季節に飲酒すると、脱水症状、熱中症、溺死、ボート事故、自動車事故のリスクが高まると警鐘を鳴らしている。同財団は、米疾病対策センター(CDC)のデータに基づき、米国における水死事故の25%、ボート事故の20%がそれぞれアルコールに関連していたと指摘する。
「熱中症は、体が体温を調節できなくなったときに起こる。通常、体内の熱は発汗によって冷却される。このプロセスを機能させるための水分が(飲酒によって)体内に不足していると、体を冷やすのに十分な汗をかくことができなくなる」と同財団のウェブサイトは続ける。
気候が健康に及ぼす影響に詳しく、2026年FIFAワールドカップ(W杯)のスタッフが直面する「暑さリスク」に関する研究論文を執筆した米ジョージア大学のアンドリュー・グルンドスタイン教授は、「アルコールには判断力や意思決定力を損なう可能性があり、それが暑さから身を守る行動に影響を及ぼす恐れがある」と説明している。
米国立気象局(NWS)によると、米国では気象現象の中では暑さによる死者が最も多い。にもかかわらず、人々は暑さのリスクを軽視しがちだ。ただ、興味深いことに、こうした人々も竜巻やハリケーンの警報が出れば当然のように避難する。


