遠隔停止機能の効果は不明、旧式機材は使われ続ける
監視技術の出荷に対する規制強化をイスラエル政府に求めてきたイスラエル人弁護士エイタイ・マックは、セレブライトには機器の動作を遠隔で停止させる能力があると考えている。ただし、そのキルスイッチ(遠隔停止機能)の有効性は不明だ。米証券取引委員会(SEC)への提出書類でセレブライトは、顧客が利用規約に違反したと判断した場合に、ライセンスの終了や「ソフトウェアの使用の無効化」が可能だとしている。マックによれば、これは禁止対象の顧客に対してソフトウェア更新の提供を止めるだけという意味にすぎない可能性もある。しかし理屈の上では、更新を受けずにセレブライトのツールを使い続けることは可能で、その場合は更新されたモバイル端末とは互換性がなくなる一方、旧モデルには依然として機能し得る。
ギーは書簡で「急速な技術進歩により、旧式のデジタル鑑識ハードウェアとソフトウェアは短期間で有効性を失う。ロシアは当社の制限対象顧客リストに恒久的に載っている」と述べた。
マックは、ロシアが反体制派にセレブライトの技術を使い続けたことは驚くにあたらないと言う。操作が簡単で、抗議活動の現場で端末をつなぐだけで反体制ネットワークの連絡先やメッセージを素早く抜き出せるからだ。「抗議活動の指導者を拘束して端末を入手すれば、その人物のネットワークを丸ごと割り出し、ほかの全員を逮捕できる」と彼は警告する。
キルスイッチの追加要求とAIエージェント「Genesis」への懸念
ピボバロフを支援してきた人権非営利団体Access Nowはセレブライトに書簡を送り、同社幹部に対して、利用規約に違反する国では機器の電源を落とせるキルスイッチの追加を含め、「将来の濫用を防ぐための法的・技術的措置の実施」を求めた。
Citizen Labのジョン・スコット=レイルトンは、セレブライトの新しいAIエージェント「Genesis」についても警鐘を鳴らした。Genesisは警察データや携帯電話の抽出データを迅速に分析し、捜査の手がかりを警察向けに生成できるという。それは「独裁者が反体制ネットワークを可視化し、新たな疑念と弾圧の標的を特定するために利用する、まさにその種のターンキー機能(導入してすぐ使える機能)である」と述べた。
ピボバロフは2024年に釈放されたものの、ロシアが彼に対して別の刑事事件を立件すると見ている。ピボバロフは祖国へ戻ることは想定していない。「ロシアで自由でいられる可能性はない」。


