次に、単に底値から反発しただけの銘柄ではなく、決算の中身で勝った企業に目を向けると、ある共通点がすぐに浮かび上がる。勝者はみな、同じ課金方式を採っているのだ——どれだけ使ったかに応じて課金する、という方式である。
SnowflakeとOktaは、作業量を計測して課金する。だからエージェントが増えれば、それに歩調を合わせて売上も増えていく。Snowflakeだけでも当四半期に616社の純増顧客を獲得し、いまや年間100万ドル(約1億6200万円)超を支出する顧客が779社にのぼる。売上高継続率(既存顧客からの売上をどれだけ維持・拡大できたかを示す指標)は126%、受注残高は92億1000万ドル(約1兆4900億円)で38%増えた。これはまさに、変化の波に乗って加速する企業の姿である。
ライセンス課金型の銘柄も上がったが、その動きは、最大60%も下げた厳しい1年を経たあとの「安堵」による反発と読み取れた。
SnowflakeがすべてのCEO・CFOにエージェンティックAIについて教えたこと
最高経営責任者(CEO)にとっての教訓は、自社をどこに位置づけるかである。今回の局面を制している企業は、自社のプラットフォームをエージェントが働く場所に仕立て、そのエージェントが使った分に課金している。一人の従業員が10体のエージェントを動かすようになれば、ライセンスはもはや価値を測る物差しにならないからだ。
優位性はさらに、エコシステムを通じて雪だるま式に膨らんでいく。エージェントの活動を自社プラットフォーム経由で処理するパートナー連携が一つ増えるたびに、営業部隊を増やさなくても売上が伸びていく。ライセンスでは決して得られなかった仕組みである。
OracleとServiceNowは、インフラ層とワークフロー層からこの優位性を攻めており、エージェントの通り道となる層をどちらが押さえるかをめぐって、Snowflakeと競い合っている。一方、Salesforceが歩む道はより険しい。同社のAgentforce(エージェントフォース)は説得力ある対応策だが、その下に横たわるライセンス依存型の中核事業に、投資家は今なお最も厳しい問いを向けているからだ。
財務責任者(CFO)にとっては、注視すべき指標そのものが変わる。利用量、売上高継続率、受注残高が、話の中心へと移る。ただし、そこで得られる上振れは、激しい値動きと背中合わせだ。顧客が利用を絞り込めば、使用量は増えたときと同じ速さで減っていくからである。
このモデルをうまく回すには、より引き締まった業績見通し、複数のシナリオの幅、そして大口顧客が減速し始めたときに早く気づく仕組みが欠かせない。今回の上昇相場も、過大評価は禁物だ。2001年以来で最高の月を経たあとでさえ、iSharesソフトウェアETF(上場投資信託)は年初来でおよそ4%安にとどまる一方、ナスダックは18%上げている。つまりこの分野は、まだ証明すべきことを多く残しながら、必死に這い上がろうとしているのだ。
6月の決算ラッシュが、これらすべてを試すことになる。勢いと、持続するモデルとは別物であり、今回の上昇相場がそのどちらなのかは、今後数四半期で決着がつく。とはいえ、進むべき方向はすでに定まっている。Snowflakeは、エージェンティックAIの時代に価値がどこへ積み上がるのかを、すべてのソフトウェア企業のリーダーに示してみせた。そして投資家が対価を払い始めたのは、提供した作業に対して課金する企業だ。


