【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

経営・戦略

2026.06.27 08:56

データセンターの宇宙進出、コスト面での障壁が依然として存在

Adobe Stock

Adobe Stock

一部の地域では、データセンターの建設に対する反発が高まっている。電力や水を大量に消費し、さらには一部の汚染を引き起こすとみなされているためだ。加えて、各地に点在する新たなデータセンターと隣接する電源施設が、近い将来のAI需要に対応できるかどうかという疑問もある。こうした懸念から、軌道上にデータセンターを配置する有効性について、改めて注目が集まっている。

この可能性を積極的に推進しているのが、SpaceX会長のイーロン・マスク氏だ。同氏は近い将来、自社が宇宙ベースのデータセンター群を展開することを構想している。経済性の観点から説得力があると同氏は述べ、4月には「宇宙にAIを展開するコストが地上のAIコストを下回る時期は、多くの人が予想するよりもずっと早く訪れるだろう。おそらく2、3年後には実現すると考えている」と予測している。

注目すべきことに、SpaceXは今年初めに、100万基のデータセンター衛星群の打ち上げと運用支援について、米連邦通信委員会(FCC)の承認を申請した。

「データを軌道上に送ることは、かつてないほど容易になっている」と、不動産サービス大手JLLの最新レポートは指摘する。「現在の課題は、軌道上データエコシステムの物流管理となっている。これは、世界的なインターネット接続を可能にした1990年代の海底ケーブル敷設革命を彷彿とさせる。海底ネットワークが情報の生成・消費地点により近い場所にデータインフラを移動させたように、衛星の急増は地球の大気圏上空に並行する動きを生み出している」

しかし、こうしたビジョンの実現を妨げる多くの障壁も存在する。打ち上げコスト、運用信頼性、デブリ管理は、宇宙ベースのデータセンター構想にとってまだ有利な状況にないと、JLLのアンドリュー・バトソン氏率いるレポート執筆陣は警告する。

経済性は成り立つのか。まだ成り立たないが、可能性はあるとJLLの執筆陣は述べる。経済性が意味を持つためには、打ち上げペイロードの重量あたり500ドルが、宇宙ベースのコンピューティングがコスト競争力を持つ閾値となる。SpaceXのスターシップ計画は1キログラムあたり200ドルを目標としているが、現在のファルコン9ロケットは1キログラムあたり2700ドルだ。

これらの取り組みが規模を拡大すれば、経済性はより有利になる可能性がある。レポートで引用されているスタークラウド社の試算によると、40メガワットの宇宙ベースデータセンターは、宇宙での10年間で1億3800万ドルの潜在的なエネルギーコスト削減を実現できる可能性がある。「軌道上データセンターは、根本的に異なるエネルギー方程式を提案している」とJLLチームは示唆する。「低軌道における太陽放射への継続的な露出は、送電網への接続、バックアップ発電、地上での許認可制約なしに、豊富で予測可能な発電の可能性を提供する」

宇宙からのデータ送受信には、レイテンシー(遅延)の問題もある。「現代の地球観測衛星は1日あたりテラバイト単位のデータを取得する」とレポートの共同執筆者は述べる。「生データを地上に送って処理するのは遅く、コストもかかる。多くの場合、地上局との位置関係によって制限される」

このため、宇宙でのエッジ処理と分析能力の強化が求められる可能性がある。「軌道上でデータを処理し、生データではなく結果のみを地上に送信する」と執筆陣は述べる。「宇宙のデータセンターは、軌道上処理のためのエッジコンピューティングソリューションとして機能し、ダウンリンク帯域幅の圧力を軽減する可能性が高い」

宇宙での冷却も別の課題だ。宇宙は自然に極めて低温だが、「根本的なエンジニアリング上の課題がある。空気がなければ、機器から熱を対流によって逃がすことができない」とレポートは指摘する。「代わりに、廃熱は大型のパッシブラジエーターを通じて放出しなければならず、地上システムよりもはるかに大きな表面積が必要となる」これは、冷却システムの初期コストが高くなることを意味する。

.

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事