習慣2:金銭の判断を「出来事」ではなく「システム」として考える
2つ目の習慣はあまり目立たないが同じくらい重要だ。それは、金銭をめぐる判断をその場限りの出来事ではなく、継続するシステムの一部として捉える傾向のことだ。多くの人は購入や投資の判断をするとき、次のような点だけを考えて評価する。
・これはお買い得だろうか
・今買う余裕があるだろうか
・これで幸せになれるだろうか
一方、資産を築く人は「これは自分が築いているパターンに合っているだろうか」という異なる問いを立てる。
これは心理学で解釈レベル思考と呼ばれるものを反映している。つまり、目先の具体的な詳細ではなく、長期的で抽象的な意味の観点から一歩引いて意思決定を捉える傾向だ。高い解釈レベルで考える人は必ずしも金融に関する知識が豊富なわけではない。ただ、それぞれの判断を自分が向かっている方向に関する大きなストーリーの中に自然と位置づける習慣を持っている。購入は単なる購入ではなく、自分たちが進む軌跡上の1つの通過点だ。そのため、その判断は自分の進む方向と一致するか、あるいは逸脱するかのどちらかになる。
このシステム思考は逆の意味での「メンタル・アカウンティング」の習慣も生み出しやすい。システム思考を実践する人はお金をそれぞれ異なる理屈で正当化できる別々の「枠」に分けて管理するのではなく、あらゆる金銭的な動きを1つのルールセットに基づく1つのプールから引き出すものとして扱う。その結果、金銭が絡む行動に一貫性が生まれ、その一貫性は複利と同じように時間と共に積み重なっていく。
2つの習慣の共通点
一見すると、満足を先送りすることとシステム思考はまったく別のスキルのように見える。だがこの2つには共通する心理的な土台がある。それは、未来を今この瞬間において現実的かつ鮮明なものとして捉える能力だ。将来の自分を抽象的な遠い存在ではなく、今の自分とつながった実の存在として自然に感じられる人は、未来の自分から感謝されるような選択を今日行いやすい。
こうした姿勢は養うことができるが、まずは気づきから始まる
仕組みにだけに焦点を当てた資産形成のアドバイスがなかなか定着しないのはこうした理由からだ。スプレッドシートでは根底にある考え方を変えることはできない。ここで紹介した習慣はテクニックというよりも気質に近い。言い換えると、時間や不確実性、そして自分自身との関わり方だ。こうした姿勢は養うことができるが、まずは気づきから始まる。金銭に関する判断を迫られたとき、その出来事だけを切り離して評価したい衝動に駆られるのか、それともそれが自分の長い物語の中でどのような位置づけにあるのかを問うか、ということだ。


