【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

経済・社会

2026.06.29 15:15

オランダの選挙歴戦を制した政治戦略家が語る「ポピュリズムの物語に対抗する究極の処方箋とは何か?」

──非ポピュリストの側は、同じ極端な戦術や非現実的な約束は使えないという限界を抱える。ジョセフ・ヒースは、統治の複雑さはシステム1だけでは捉えられないと主張している。システム1とシステム2の緊張を、どう乗りこなすのか。

advertisement

ヒースは正しい。財政、エネルギー転換、人口動態といった現代の統治の複雑さは、システム1では捉えられない。私がヒースと袂を分かつのは、選挙運動と統治を同じ営みと見なす主張だ。両者はまったく異なる仕組みだと、私は考えている。ビジネスの比喩で言おう。最も人気のある車が、最もよく設計された車であることは稀だ。車をうまく売ることと、うまく設計することは、別の仕事だ。両者を混同する会社は、誰も買わない名車を作るか、凡庸な車を巧みに売ることになる。長く成功する会社は、両方の機能を卓越させたまま分離するのだ。民主政治も同じだ。最良の政策を作ることと、最良の選挙運動をすることは別の専門領域で、両方を卓越させねばならない。そして決定的に、選挙運動の専門家は、政策の中身に干渉してはならない。選挙戦略家がマニフェストを書き始めた瞬間、すべてがコミュニケーションで、統治が何もないポピュリスト政党へと滑り落ちる坂道が始まる。

ポピュリズムとは、この区別が崩壊した政治形態にほかならない。彼らは選挙運動の仕事だけをし、その下に並行する政策の規律を気にしない。だからポピュリストは、選挙に勝って統治を行っても、例外なく失敗する。2024年に一枚紙の綱領で発足したウィルダース率いる連立が、その証拠だ。選挙運動の規律は見事だったが、政策の規律は存在せず、一年以内に崩壊した。ドイツの主流政党がSNSから撤退した動きは、真剣に受け止めるに値する。怒りで稼ぐプラットフォームが民主的熟議に構造的に敵対的だと認めるのは、擁護できる。だが、それだけでは不十分だ。民主主義者を会話から退かせても、アルゴリズムは変わらず、残った者のために場が空くだけだ。その日の会話が起きるチャンネルにいなければ、その日の会話を形作ることはできない。より難しい仕事は、プラットフォーム上で競い続けながら、アルゴリズムの透明性やディープフェイクの規制といった説明責任を求めることだ。撤退は戦術であり、チャンネルを取り戻すことが戦略だ。

advertisement
次ページ > 「希望の物語」をどう築くか

インタビュー=青野 浩 写真=バス・アーリングス提供

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事