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経済・社会

2026.06.29 15:15

オランダの選挙歴戦を制した政治戦略家が語る「ポピュリズムの物語に対抗する究極の処方箋とは何か?」

だから、私はこの問いを、首相にではなく、むしろ読者に向けたい。参政党の衆院での議席は、2026年初頭の時点では控えめにとどまり、高市氏の自民党は、戦後日本の歴史で最大規模の単独過半数を得た。「ポピュリスト運動を封じ込めたか」という単純な尺度で測れば、高市氏の戦略は機能した、と言える。だが、ここで先に触れたデンマークの例が重要だ。ポピュリストの感情的なフレーミングを、その運動を中和するために自ら取り込んだとき、あなたは国民的な対話の重心そのものを、動かしてしまってはいないか。かつて自分が反対していたはずのフレームの内側で、いまや統治を行ってはいないか。ポピュリストを吸収するという戦略には、問題がある。選挙では機能する。だが、世論調査には決して表れない代償を伴うのだ。

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最後に、医療の比喩を使って締めたい。ポピュリズムは病ではなく、症状だ。熱が出てから解熱剤を飲むように、ポピュリストが台頭してから慌てて「戦う」のは、いつも手遅れの対症療法でしかない。本当に効くのは予防だ。住宅、賃金、地域、そして「努力すれば報われる」という壊れた約束――ポピュリストが食らいつくその患部に、症状が出るずっと前から手を入れておくこと。健康なときにこそ運動し、食生活を整えるように、民主主義が脅かされていないときにこそ、市民の技能を教え、公共放送を守り、人々が分断ではなく出会いの場を持てるようにしておくことだ。それは華々しくもなければ、選挙の票にもなりにくい、世代をかけた地味な仕事だ。だが、予防に勝る治療はない。ポピュリズムへの最良の答えは、それが現れてから打ち負かすことではなく、それが根を張る土壌を、先回りして耕しておくことなのだ。

そして、希望を失う必要はない。2017年に私たちは、ポピュリストが打ち負かせる相手であることを示した。2026年のハンガリーは、16年続いた支配でさえ終わらせられることを示した。問題は、彼らが避けられない存在かどうかではない。私たちが、間に合うかどうかなのだ。

バス・アーリングス(Bas Erlings)◎オランダの戦略的コミュニケーションと政治戦略の第一人者。自由民主国民党(VVD)が勝利した選挙キャンペーンを指揮。人間の行動を深く理解することで政治的な突破口を開く。同様の戦略的視点でSUE&The Alchemistsの共同創設者として政党から大手企業まで、経営幹部や組織変革を支援する。

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インタビュー=青野 浩 写真=バス・アーリングス提供

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