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アジア

2026.06.27 15:15

韓国の良心的ジャーナリズムの象徴ともされた放送局JTBCはなぜ崩壊に至ったか

HQ2X2 - stock.adobe.com

中央グループが打った起死回生の一手

経営が悪化した状況のなか、その中央グループが打った一手が大型スポーツ放映権の独占取得だった。

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しかし、それをもってしても流動性悪化は防げなかったと見える。

JTBCは、2019年、IOC(国際オリンピック委員会)との交渉を経て、2026年から2032年までの4大会(冬、夏)にわたる韓国国内のオリンピック放映権を独占取得した。

さらに2024年には、FIFA(国際サッカー連盟)が主催する2026年と2030年のワールドカップ放映権も取得。これらのスポーツ放映権取得に投じた総額は、約5億ドル(約7000億ウォン)に上るとされる。

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当初の計画では、この放映権を地上波3局(KBS、MBC、SBS)に転売することで投資を回収する算段だった。しかしこの読みは完全に外れた。

地上波3局はこれまで「コリアプール」と呼ばれる共同購入体制で、オリンピックやワールドカップの放映権を確保してきた経緯がある。すでにスポーツ中継でも収益を出すことが難しくなっていた地上波局側は、JTBCが提示した転売価格での購入を拒否。JTBCとの交渉は難航を極めた。

2026年2月に開催されたミラノ・コルティナ冬季オリンピックでは、地上波3局への転売交渉が決裂し、JTBCによる単独中継を余儀なくされた。これが巨額の赤字を抱える結果となった。

2026年北中米ワールドカップについては、最終的に4月にKBSとの共同中継で合意したが、JTBCがKBSに売却した金額は140億ウォン(約15億円)にとどまった。しかもMBCとSBSへの売却は実現せず、期待された転売収益の大半を回収できなかった。

また、JTBCは、UHD(超高精細)映像のインフラを保有していないため、FHD画質でのみ放映権を取得するという形となり、中継品質面での批判も受けた。

そして、スポーツイベントの放映権問題に加え、韓国のメディア環境そのものの構造変化もJTBCを追い詰めた。

韓国の放送事業全体の売上は2022年の19兆7579億ウォン(約2兆1100億円)から2024年には18兆8320億ウォン(約2兆111億円)へと2年連続で減少。放送広告売上に限れば2022年の3兆752億ウォン(約3284億円)から2024年には2兆3073億ウォン(約2464億円)へと約25パーセントも落ち込んだ。

ネットフリックスをはじめとするOTT(動画配信サービス)の普及により、視聴者のテレビ放送離れが加速。広告主の予算もデジタル・オンラインプラットフォームへと急速にシフトしており、テレビ広告市場は縮小の一途をたどっている。

JTBCは、「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」や「冷蔵庫をよろしく since 2014」など多くのヒット作品を送り出してきたが、制作・流通部門を子会社の「SLL(エスエルエル)中央」に分離したため、ドラマやバラエティー番組の知的財産権(IP)事業の収益の大部分はSLLが受け取る構造になっていた。

2022年には現金確保のために「知ってるお兄さん」など、過去の番組279本のIPをSLLに433億ウォン(約46億円)で売却するという状況にまで追い込まれた。

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文=アン・ヨンヒ

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