JTBCはその設立当初、地上波3局との視聴率競争において苦戦を強いられた。転機が訪れたのは2013年、著名なキャスターの孫石熙(ソン・ソクヒ)氏を報道担当社長として迎え入れてからだ。
JTBCの名を国内外に轟かせたのは、2016年10月のスクープ報道である。当時の朴槿恵(バク・クネ)大統領の側近、崔順実(チェ・スンシル)氏が所持していたとされるタブレットPCを入手、報道して、「崔順実ゲート」と呼ばれる一大政治スキャンダルを世に知らしめた。
この報道は、朴槿恵大統領の弾劾、罷免、そして李在鎔サムスン電子副会長(当時)の逮捕へと連鎖していく政治的激震の引き金となった。
これを機に報道の公正性と独立性を示したことで、JTBCの信頼度は急上昇。2017年および2018年の調査で放送局ニュース信頼度ランキング第1位を連続で獲得するなど、韓国メディア界において揺るぎない地位を確立した。2017年には同社設立以来初の黒字も達成している。
ドラマ部門でも「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」(2018年)などのヒット作品を量産し、韓流コンテンツの一翼を担う存在として国際的にも評価された。
しかしながら、この躍進はある代償を伴っていた。
JTBCがサムスン電子の李在鎔副会長の逮捕に至る一連の報道を行ったことで、サムスンとJTBCおよび中央グループとの関係が決定的に悪化したのだ。サムスン電子は李在鎔副会長が拘置所に収監された2017年以降、JTBCへの広告出稿をほぼ停止した。
サムスン電子は韓国の放送広告市場に占めるシェアは10パーセントを超えるとされており、その最大スポンサーがJTBCから手を引いたことは経営上の深刻なダメージとなった。年間数百億ウォンにのぼるとされる固定広告収入が失われたとの指摘もある。
2026年に入り、中央グループの流動性危機が最高潮に達すると、グループ側はサムスン電子会長の母親である洪羅喜(ホン・ラヒ)前リウム美術館長や、中央グループと兄弟グループの関係にある「BGFグループ」などに資金支援を打診した。
この6月22日の報道によれば、洪羅喜前リウム美術館長が個人として中央ホールディングスに1000億ウォン(約107億円)を超える資金を貸したという。それは、焼け石に水だったようだ。


