「低コスト」は相対的なもの
ERAMプログラムの主な目的は、ウクライナ空軍のF-16向けに低コストで大量生産可能な長射程弾薬を供給することにある。
もっとも、規模やコストはすべて相対的な概念だ。米国のミサイル調達という特殊な世界では、ウクライナがラスティ・ダガー3350発を8億2500万ドル(約1330億円)で購入する契約は、大規模で低コストの発注ということになる。
単純計算すると、1発あたりの価格は24万6000ドル(約3980万円)となる。たしかに、これは西側製の巡航ミサイルとしては手ごろな価格と言える。たとえば、英国製のストームシャドー空中発射巡航ミサイルはこれよりもざっと10倍高価であり、これまでウクライナに供与された数も限られる。米国防総省の現行予算には、さらに高価な装備品が数多く計上されている。
だが、ウクライナの基準ではラスティ・ダガーは高価な部類に入る兵器だ。比較例を挙げれば、モスクワ製油所に対する攻撃にも投入された国産のFP-1攻撃ドローンは、約60kgの弾頭を搭載し、1450km以上の航続距離があり、それでいて価格は1機あたり5万5000ドル(約890万円)程度だ。FP-1や近縁の機種は合計で月に3000機超のペースで生産されている。
航空機搭載弾薬には利点もある。航空機から発射される弾薬は目標へはるかに短時間で到達するため、防空側が対応する時間が少なくなり、突破できる可能性が高くなる。また、ラスティ・ダガーは、より堅固な目標に対して打撃を与えることが可能だ。ボロネジの工場に対する攻撃の映像では、弾薬が垂直に近い角度で高速で急降下し、建物の屋根を貫通して内部で爆発する様子が確認できる。
さらにラスティ・ダガーは、ウクライナ空軍のF-16をはじめとする攻撃機が、ロシア軍の防空システムの射程外にとどまりながら攻撃を行えるようにする兵器でもある。
しかし、ウクライナにはこれに代わる選択肢があるかもしれない。
国産弾薬
ウクライナのミハイロ・フェドロウ国防相は5月、ウクライナが独自の誘導滑空爆弾を開発したことを明らかにした。現在、それは実戦で使用されている。


