さらにエンジンを追加すると動力付き滑空爆弾になり、射程は一段と伸びる。ボーイングのJDAM-LRキットがこれに該当し、この段階になると、その弾薬はもはや爆弾というよりも巡航ミサイルと呼ぶべきかもしれない。いずれにせよ、ラスティ・ダガーは翼とPBS TJ80ターボジェットエンジンを備え、時速約740km超で飛行して最大460kmほど離れた目標にまで到達することが可能になっている。
JDAMなどのGPS(全地球測位システム)誘導弾薬がロシア側のジャミング(電波妨害)で機能不全に陥った経験を踏まえ、ラスティ・ダガーは高度な対ジャミング装置を搭載しており、さらにバックアップとして光学航法システムも備えている可能性がある。
総重量は約230kgとなっている。これにはエンジンや燃料の重量も含まれ、弾頭重量自体は約45kgと推定されている。ただ、当初の設計では射程が現状の2倍あったことを考えると、燃料タンクの容量を減らして弾頭を大型化した可能性もある。
開発ペースは防衛産業の基準からすると驚異的な速さだった。米空軍は2024年1月に最初の依頼書である情報依頼書(RFI)を出した。2024年10月に契約が発注されてプログラムが本格始動し、4カ月後の2025年2月に最初の飛行試験が行われた。さらに2026年1月には、米フロリダ州のエグリン空軍基地で実弾試験が実施された。
予定では、その後さらに試験と低率初期生産(LRIP)が続き、最初の10発のラスティ・ダガーがウクライナに納入されるのは今年10月と見込まれていた。ところが6月上旬、ロシア側はラスティ・ダガーの部品とみられるものを回収した。そして今回、ラスティ・ダガーがボロネジの工場に対する攻撃に使用されたらしいことが映像分析からわかった。この新型巡航ミサイルは初飛行から1年半足らずで実戦使用され、損害を与えているようだ。
The Russians recovered an 8-element GPS-jamming-resistant CRPA satellite navigation system that is apparently from an AGM-188A “Rusty Dagger” cruise missile.
— Roy🇨🇦 (@GrandpaRoy2) June 8, 2026
This is a 930-km range, low-cost missile to be carried by F-16s and intended primarily for use by Ukraine.
1/ https://t.co/7LmDyykSw6 pic.twitter.com/ohgOoB0zzv
繰り返しになるが、これは異例の速さである。米空軍のAGM-158B JASSM-ER空中発射巡航ミサイルは、初飛行から初期運用能力(IOC)の獲得までに8年を要した。AGM-179 JAGM空対地ミサイルは、2010年の試験発射から2022年のIOC化までに12年かかっている。


