物理学者アルベルト・アインシュタインが提唱した公式「E=mc²」はおそらく、史上最もよく知られた方程式だろう。学校に通う少年から、賞を受けるような数学者まで、大勢の人がその意味を理解している。しかし、この単純な方程式に至るまでの過程は、そう単純ではなかった。
この式が生まれる元となった相対性理論は、アインシュタインの研究生活の中でも、最も複雑な課題の1つだった。この式は、何千年にもわたる物理学の歴史の上に築かれた、10年近くにわたるアインシュタインの研究に基づいている。だが、1度難問が解決されると、この公式は科学者たちにとって、新たなイノベーションの信じがたいほどの展望を開いた。だからこそアインシュタインは、「あらゆる困難のうちにチャンスがある」という名言を残したとされているのだ。
それは、ビジネスの世界でも同じだ。
ビジネス界のリーダーは今や、かつてないほど複雑な事業環境に直面している。経済の先行きは不確実で、地政学的な緊張も増している。サプライチェーンにはほころびが見られ、働き方は大きく変化し、サイバーセキュリティの脅威は現実のものとなった。気候変動への懸念が高まり、顧客の期待は急速に変化する──しかも、これらの出来事が同時集中的に発生しているのだ。
そして同時に、AI(人工知能)が変化を加速している。これほどのペースは、今までほとんどの企業が経験したことがないはずだ。
新たな流通チャネル、AIにより押し上げられた生産性、さらに画期的な機械学習の技術が、オーディエンスへのリーチに関する分野に対しても、イノベーションを迫っている。この記事を読んでいる皆さんも、とてつもない障害に直面していることだろう。そして、この難局を切り抜ける唯一の道が、イノベーションを起こすことなのだ。
イノベーションの本質は、問題を違った角度から見ることにある。これは、他の人が障害と見るところに可能性を見いだし、複雑さの中に隠れている価値を発掘し、テクノロジーやデータ、人間の創造性を活用して、より良い結果を生み出す能力だ。
以下では、複雑な課題をチャンスに変える4つの方法を説明していこう。



