NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2026.08.10 16:00

ソニーフィナンシャルグループ、第二創業の経営デザイン──カギは意志を引き出し、束ね、共創すること

ソニーフィナンシャルグループ株式会社(以下、SFGI)は2025年、パーシャルスピンオフ制度を活用して、東京証券取引所プライム市場へ上場を行い、第二の創業期を迎えた。2023年からグループ全体の新企業理念体系に携わるなど、経営に伴走してきたのがdentsu Japan(国内電通グループ)だ。

新企業理念体系は、一般的なMVVの形にとらわれず、Vision(ビジョン/ありたい姿)、Values(バリューズ/価値観)、Foundation(ファウンデーション/事業における礎)という形で言語化され、ソニーフィナンシャルグループ(以下、ソニーFG)の価値観を改めて内外に浸透させつつある。

ソニーFGのブランド責任者として、企業理念体系の再定義をリードしてきた執行役員 ブランド・サステナビリティ戦略推進部担当の中路宏志と、dentsu Japanを代表して電通のビジネスプロデューサー 小川 潤、クリエイティブディレクター 日比昭道が、グループ各社のトップの意志を引き出し、共鳴させた、第二創業の取り組みを振り返る。

※「MVV」はMission(ミッション)、Vision(ビジョン)、Value(バリュー)の略称


個社ではなくグループとして、社会に価値を届けるための「言葉」が必要だった

──第二創業にあたって、ソニーFGの抱えていた課題とは?

中路:「個社として強い」「個社としての成長」だけでは、金融グループ全体の成長を十分に加速できないという課題感がありました。グループとして、どのような価値を社会に提供していきたいのかを示す共通言語が揃い切っていないと感じていたのです。

そこで、グループ共通の価値や「ありたい姿」を言語化し、社会実装させるための「未来創造プロジェクト」が2023年に始まりました。実装とは、言語化した価値やありたい姿を実際にグループに浸透させると同時に、グループの社員一人ひとりが社会やお客さまと向き合う中で、その価値とありたい姿を実践していくことです。そこから2025年の上場までの2年間、私たちと同じ未来を見据えて経営に伴走してくれたパートナーが、電通さんです。

電通さんはブランドというものを、単なる広告やマーケティングのテーマではなく、経営のテーマとして捉えてくれています。上場という明確な期限がある中で、もっともふさわしいパートナーでした。

その結果、「感動寿命」という言葉にたどり着き、いわゆるMVVの形にとらわれない「Vision(ビジョン)」「Values(バリューズ)」「Foundation(ファウンデーション)」という新企業理念体系が生まれました。

●ソニーフィナンシャルグループの企業理念体系

小川:今回は「ソニーの金融グループ」ならではの価値創造と、そのためにグループ内連携を強化したいというご相談があり、従来よりも“川上”からお手伝いをさせていただく機会を得て、本当に光栄でした。

といいますのもdentsu Japanは今、「Integrated Growth Partner(IGP)」を宣言しています。従来のdentsu Japanの強みである広告・コミュニケーション領域にとどまらず、クライアントさまの持続的成長のために、より本質的なビジネス課題を解決するパートナーであることを目指しているのです。

日比:IGPをクリエイティブ視点で捉えると、クライアントさまの成長、さらには社会の成長のために、広告業務で培った「クリエイティビティ」を転用しコミットメントすることだと考えています。特に私は「Partner」という部分が重要だと考えていて、クライアントさまと一緒に悩み、考え、共創し、伴走していくパートナーでありたいと思っています。

次世代を牽引するメンバーの意志(Will)を引き出し共鳴させたワークショップ

──ソニーFGの相談を受けて、電通はプロジェクトをどのようにプランニングしていったのでしょうか。

日比:最初に、この仕事は「ソニーFGに対する社会からの期待」を創造するプロジェクトと捉えました。そして、その期待の拠り所や起点となるのは、社員や経営陣の「意志=Will」であると考えました。そこで、経営陣も含め、次世代を牽引されるメンバーの意志を引き出すために、われわれからの一方的な提案ではなく「共創型」のプロセスをプランニングしました。

小川:共創のための取り組みのひとつが「未来創造ワークショップ」です。テーマは「2030年にグループとしてありたい姿」。次世代を牽引するグループ各社の役員、部長職を中心としたメンバーに参加していただいたのですが、皆さんが本当に活発に意見交換やアイデアの発案をしてくださりました。

中路:参加したのは、ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行、ソニー・ライフケア(介護)、そしてホールディングスから、各社の執行役員と部長職を中心としたメンバーです。ワークショップで良かったのが、各自が個社の前提からいったん離れ、グループとして中長期で何を目指し、どのような価値を提供するのか議論できたことです。普段はどうしてもそれぞれの持ち場に応じた議論になりがちですが、グループ共通の目線、土台で話せるようになりました。日比さんたちのファシリテーションもあり、皆がどんどん自身の考えや意志を発露し、議論が熱を帯びていって驚きました。

中路宏志 ソニーフィナンシャルグループ 執行役員 ブランド・サステナビリティ戦略推進部担当。
中路宏志 ソニーフィナンシャルグループ(株) 執行役員 ブランド・サステナビリティ戦略推進部担当。

──ワークショップの中身について詳しくお聞かせください。

日比:参加者の皆さんには、会社を超えて、部署を超えて、グループのありたい姿である「未来」を描いていただく場であること。そして、何よりこの場が楽しくないと、楽しい未来は描けないと思っているとお伝えしました。普段は、言葉で議論していると思いますが、ワクワクした未来を描くために、言葉での議論のみならず、アイデアや意見を「ビジュアル」でも表現いただきました。言葉だけだと共通のものが表現できないときでも、ビジュアルで表現することで、だんだん共通のイメージが見えてくるのです。また、議事録的に「グラフィックレコーディング」も行いました。皆さんからの熱量と意志の共鳴をビジュアルとして記録することで、ワクワクする未来が共有されていきました。

●未来創造ワークショップのビジュアル(一例)

また、ワークショップの半ばで、SFGIの遠藤俊英社長から「金融は、お客さまにとって遠ざけたい存在になっていないだろうか?」という重要な問いかけをいただきました。その問いがきっかけとなり、ソニーFGという企業の視点ではなく、金融業界の視点に立てたと思います。

結果、金融業界を牽引するという考えで捉えると「金融というものが、賢く生きるための存在から、楽しく生きるための存在になる必要があるのではないか」という、そんなテーマが浮かび上がってきました。私たちも、ソニーFGさんが金融業界を変えていき、より社会に貢献していく存在にならなければならないという使命感を、同じ目線で強く感じました。

また、ワークショップを通じて印象的だったのは、皆さんがソニーグループのキーワードである「感動」という言葉を大切にしていること。描いていただいたビジュアルも、具体的なアクション案も、お客さまに感動できる人生を体験してもらいたいというものが多くありました。

中路:ワークショップから導出され、電通さんと一緒に作り上げたのが「感動寿命」というキーワードです。金融業界や一般的に「健康寿命」「資産寿命」という考え方は、比較的なじみがある言葉ですが、生きがいや自分らしく生きることを「感動寿命」という新しい概念によって言語化できたことで、ソニーの金融グループとして腹落ちし、ワークショップ参加者の間で“パワーワード”のようになりました。このキーワードの輪郭が見え始めたことで、その後の新企業理念体系の再定義・策定に自然とつながっていったと思います。

日比:皆さんの言葉やビジュアルを通じて、ソニーFGさんの目指す社会を考えたときに「日本は課題先進国と言われるが、目指すべきは“感動先進国”なのではないか。そして、資産寿命や健康寿命だけでなく、これからの時代において、日本には“感動寿命”という新しい概念が必要なのではないか」という仮説に至ったのです。この言葉が引き出されたのは、皆さんの熱量が共鳴しあってのことでした。

「感動寿命」を起点とした、型にはまらない新企業理念体系を策定していった

──ワークショップで得た成果は、新企業理念体系にどうつながっていったのでしょうか。

小川:ワークショップから日を改めて、日比やクリエイティブチームがインタビュアーとなり、各社の社長・役員の方々にデプスインタビューを行って、だんだん固めていきました。中路さんはこのプロセスにおいて、トップの方々だけでなく、社員の皆さんにも情報を共有し、アンケートを実施されていましたよね。本当に社員の思いを大切にしている、すごく社員にリスペクトのある会社なのだと思いました。

小川 潤 電通 第17ビジネスプロデュース局 アカウントリード3部長。
小川 潤 (株)電通 第17ビジネスプロデュース局 アカウントリード3部長。

日比:インタビューの結果を元に、皆さんの意志を言語化・可視化するというステップを踏みました。ポイントは、新企業理念体系をいわゆるMVVの型に当てはめなかったことですね。枠にはめると、どうしても穴埋め発想になってしまうと考え、参考にはするものの既存の枠組みにとらわれないようにしました。

中路:そもそもなぜMVVではなくVision(ビジョン)、Values(バリューズ)、Foundation(ファウンデーション)になったのかという話ですが、当初は「感動寿命」を含む「3つの寿命」はあくまで中間生成物であって、MVVには使わないという話をしていました。でも、社内のさまざまな関係者の皆さんと会話すると、やっぱり「3つの寿命」という概念が強く印象に残っていました。

ならば「3つの寿命」を何らかの形で新企業理念に組み入れようと考えても、一般的なMission(ミッション)でもVision(ビジョン)でもValue(バリュー)でもない。どう位置づけるか迷っていたところ、社長の遠藤から「“礎”ということでは?」と言われ、最終的には、一般的な型には当てはめない「Foundation(礎)」という形に定義しました。

日比:型に当てはめないからこそ、ソニーFGさんらしいユニークな新企業理念体系が築けたと思います。また、Values(バリューズ)についても、社員の皆さんと何度も議論し、共創しました。このときも、言葉だけで抽象的な議論をするのではなく、自分たちの価値観だからこそ自分ごと化できるよう、ビジュアルも活用してイメージの可視化を図りました。

中路:新企業理念体系の策定で特に大事にしたのは、「何を作るか」以上に「どう作るか」です。見える化・オープン化を意識し、オープンな議論で言葉の解像度を高めていきました。デプスインタビューで出てきたキーワードを他のトップマネジメントにも共有し、いわば意志を共鳴させるうちに、言葉の解像度がどんどん上がっていきました。かつ、この策定過程を適宜社員に共有し、アンケートを活用して意見を集約するなど、全員参加型にすることで、より腹落ちできる理念になったと思います。

最終的にできたグループのVision(ビジョン)である「感動できる人生を、いっしょに。」と、社員たちと共創したValues(バリューズ)、そしてすべての礎となるFoundation(ファウンデーション)をもって、いよいよ上場のタイミングでグループブランディングに入っていきました。

小川:ブランディングでは、ソニーFGさんという存在が生活者にとってどういうものなのか、いかに「感動」を支えられる存在なのかが伝わってほしいなと思っていました。

日比:「スヌーピー」でおなじみの「PEANUTS」を起用したCMを制作しましたが、ただ可愛いから起用するのではなく、深い人生を体現している「PEANUTS」の世界観を、いかに感動できる広告にするかということに注力しました。Vision(ビジョン)として「感動できる人生を、いっしょに。」を掲げるのだからこそ、TVCM自体で感動していただきたいと考え、チームで企画・制作しています。第二創業期のモーメントにふさわしいコミュニケーションになるように取り組みました。

© 2026 Peanuts Worldwide LLC

日比昭道 電通 第3CRプランニング局 フューチャークリエイティブ3A部長 クリエイティブディレクター。
日比昭道 (株)電通 第3CRプランニング局 フューチャークリエイティブ3A部長 クリエイティブディレクター。

頼れるパートナーから、共に責任を背負う「ONE TEAM」へ

──プロジェクトが一区切りとなりますが、電通の伴走を振り返っていかがだったでしょうか。

中路:小川さん・日比さんら電通のメンバーの皆さんと、同じ責任を一緒に背負う「ONE TEAM」となって走りきれたのが、今回一番良かったことです。もともと頼れるパートナーだと感じていましたが、ブランドの起点となる新企業理念体系を作るという経験を共にするうちに「同じチームの仲間」という感覚が強くなっていきました。

だからこそ、議論が白熱したり、時には認識の相違もあり、あえて厳しいフィードバックを差し上げたりしたこともありますが、本当にONE TEAMになれているがゆえのことかと思います。

小川:中路さんからONE TEAMというお言葉をいただきましたが、本当にうれしいです。電通チームを信頼してくださり、ありがとうございます。中路さんのそうした思いは普段の仕事を通じて、いつも伝わってきていました。

このプロジェクトは、われわれにとっても、ソニーFGさんにとっても、今後もうないかもしれないような取り組みでした。そんな中で、忘れられない中路さんの熱い言葉があります。ソニーFGの皆さんと電通のメンバーがいる場で「今回のプロジェクトは、全員にとって一生忘れられない仕事にしよう」と言ってくださったのです。まさにONE TEAMになった瞬間だったと思っています。私も常にこの言葉を胸に、取り組んできました。

──これから先の展望をお聞かせください。

中路:大事なのは、理念を掲げること以上に、グループ社員全体でいかに「理念が生きる瞬間」を作れるかだと思います。広告やコミュニケーションももちろん大事ですが、ブランドの本質は、その理念をグループのカルチャーとして浸透させていくことにあります。さまざまな商品・サービスを考えるシーン、お客さまとのさまざまなコミュニケーション、さらには社員一人ひとりの行動そのものの中で、理念が生きる瞬間をどれだけ増やせるか。そのための仕組みのひとつとして、電通さんと「ブランドコミッティ」の立ち上げを準備中です。グループ各社が集って、共通のブランドテーマについて検討するための座組みです。

日比:「感動できる人生を、いっしょに。」という、大きな方針ができました。これを世の中にどう実装していくか、どうやってその世界に近づいていくかが重要ですので、そこに向けて私たちもコミットメントしていきます。電通ではB2B2S(Business to Business to Society)という言葉を掲げていますが、クリエイティブだからできる言語化・可視化・物語化の力で、ソニーFGさんとの共創を通じて、社会への価値貢献をさせていただければと思います。

小川:今回のプロジェクトは自分たちにとっても本当に大きな体験となりました。今後も真のIGPを目指すために、進化を続けていきたいです。

dentsu Japan
https://www.japan.dentsu.com


なかみち・ひろし◎ソニーフィナンシャルグループ(株) 執行役員 ブランド・サステナビリティ戦略推進部担当。2008年、ソニー銀行に入社。執行役員としてマーケティングおよびCX領域全般を統括。現在はSFGIの執行役員として、ブランディング戦略とサステナビリティ領域を担い、理念を基点に金融グループの企業価値向上を推進する。

おがわ・じゅん◎(株)電通 第17ビジネスプロデュース局 アカウントリード3部長。ビジネスプロデューサーとして、クライアントの国内外にわたるプロジェクトを牽引。ソニーグループアカウントをはじめとするグローバル企業を担当。従来のコミュニケーション領域に留まらず、企業の根幹を担うBX領域へも取り組んでおり、クライアントの真の「Integrated Growth Partner」として本質的な事業ソリューションを提供。

ひび・あきみち◎(株)電通 第3CRプランニング局 フューチャークリエイティブ3A部長 クリエイティブディレクター。広告クリエイティブで培った力を用いて、さまざまな商品・企業・産業の変革・未来づくりに挑戦。特に、企業ブランディング、スポーツ/メディア領域、まちづくり領域のプロジェクトが多く、クリエイティブリードを軸に、対話し共創する進め方を得意とする。クリエイティブアワード受賞多数。大学講師、企業のアイデア研修講師等も。中小企業診断士。

promoted by dentsu Japan | text & edited by Shunichi Ueno(PlayceCUBE)| photographs by Masahiro Miki