捨てられるはずだったプラスチック袋が、つなぐもの
ANYBAGはアディダス、ラルフローレン、ナイキなどのグローバルブランドと連携し、企業から排出されるプラスチック廃材を回収してテキスタイルに織り直すプロジェクトを展開している。ナイキとはポリ袋の回収・アップサイクルに加え、オフィスでのウィービング・ワークショップも実施するなど、企業を巻き込んだ循環型の取り組みを広げている。
これまでに回収・アップサイクルしたプラスチック袋の累計は既に50万枚を突破している。「THE CLASSIC」トート1点につき約95枚、「THE MINI」1点につき約48枚の使い捨てプラスチック袋が使用され、埋め立て地に送られることも、海洋に流れ出ることもなく済んでいる。

また、全製品に「生涯修理保証(Lifetime Guarantee)」が付帯する。破れても傷んでも、チェルシーのファクトリーに戻せば何度でも職人が直してくれる。プラスチックは分解されないからこそ問題になった。だが裏を返せば、正しく使えば壊れない素材でもあるわけだ。そのポジティブな逆転の発想が、この保証の根拠といえよう。
Alex氏は、このプロジェクトをさらに他の地域へ広げる構想も持っている。それぞれの地域で集めたリサイクルプラスチックを使い、その地域の特徴を反映したストーリーを持つバッグを作り出す。ANYBAGはまだ、進化の途中だ。
ANYBAGを選ぶ理由
ANYBAGのバッグを持つことの意味は、「環境への配慮」もそうだが、もっと深いところにある。
素材に敬意を払うこと。職人の手に価値を見出すこと。古いものを大事にするのと少し違い、毎日のように作られては捨てられていく、我々の生活の中のプラスチックバッグを、長く使えるものとして、しかもちょっとご機嫌になれる頑丈なお気に入りバッグとして身近におき、「消費」よりも「継続」を選ぶこと。それを堅苦しくなく、日常的に楽しく。
黄色いスマイルマークのバッグを肩にかけるとき、イチゴアップリケのついたバッグを腕に持つ時、筆者はときどき思う。このバッグの前世は、何かの製品が入っていた使い捨てられる袋だったのだろう、と。
そしてそのバッグを持つと、人が話しかけてくる。「それ、可愛い!」。そんな時、思わず笑顔になって、ちょっと自慢に思ってしまうのだ。自分で作ったわけでもないのに。でも作った人々のことを思い、それを自分の意思で選び使っていることを、誇りに感じ、ちょっと説明なんぞしてしまうこともある。そして、そのバッグは今日も筆者の手元にあり、これまでも、そしてこれからも、何度も何度も大切に繰り返し使われていく。


