売り手市場と言われ久しい新卒採用市場。2026年卒の新卒内定率は98.7%(大学生・卒業時点 ※1)。そう聞いて、「我が子の将来は安心」だと思う保護者も少なくないだろう。
しかし、大手企業への就職は依然、狭き門。26年卒の従業員規模別の企業求人倍率を見ると、300人未満では8.98倍と高いのに対し、5000人以上では0.34と低く、その差は歴然(※2)。人気企業では、内定倍率が100倍を超えることも珍しくない。
その切符として有効なもののひとつがいわゆる難関大学の卒業証書だが、近年、大学入試の多様化により、一般入試の合格難易度が上昇しているという。
就活塾と大学受験塾のホワイトアカデミーを運営する専門家、竹内健登氏は、偏差値が足りなくとも難関大学に合格し、一流企業から内定を得る方法が存在すると語る。
本連載ではそれらを、「国内大学進学編」「就活編」の前後編で紹介。初回は、劇的な変化を遂げた大学入試システムを知り、戦略的に難関大学入学の切符を手にする方法を、竹内氏に聞いた。
※1…就職みらい研究所(リクルート)「就職プロセス調査(2026年卒)『2026年3月度(卒業時点)内定状況』
※2…リクルートワークス研究所「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」
パナもクボタも、AI普及で進む新卒採用減と学歴採用
「学歴よりスキル重視」「人物重視」。近年、採用活動でこうしたメッセージを掲げる企業が増えている。中には、あえて学生にエントリーシートへ大学名を記入させないケースもある。
しかし竹内氏は「就活における学歴フィルターは依然存在し、今後はこれまで以上に重視されていく」と語る。
背景にあるのは、AIの普及で企業一社あたりに必要な社員数が減っていくという予測だ。共同通信が主要企業111社に実施した27年度入社の新卒採用数に関するアンケートでは、前年度実績より「減らす」と答えた企業は23%(25社)に上った。
クボタは27年卒の大卒・院卒採用人数を前年比75%減、パナソニックHDは100人減、サントリーは8%減を明らかにしている。
「数千人から数十名を選ぶような厳しい選考では、どうしても(基礎学力が担保されている)難関大の学生から採用していくことになるでしょう」(竹内)
実際、少なからぬ大手企業が新卒採用において、非公式で学歴によるセグメントを行っているという。過去には、企業が採用説明会への参加者募集で、学生の大学ランクによって申し込みWebページ上にある満席・空席の表示を切り替えるケースも見られた。
「大手企業が学生にアプローチをかける時、旧帝・早慶、MARCHなど、基本的にまずは大学のランクで区切ります。例えば採用エントリー開始を告げるメールマガジンを、最初に難関大の学生に送るのです」(竹内)
親の常識が通じない、25年で激変した大学入試
ならば我が子を難関大学に入れてやりたいと思うのが親心だが、先述の通り従来型の一般入試が難化傾向にある。
文部科学省の調査(※3)によれば、25年度の大学入学者の53.6%が推薦入試で合格しており、00年度の33.1%から大幅に増加した。裏を返せば、一般入試の枠は相対的に縮小しているということだ。
※3…令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要
「そもそも一般入試は、中高一貫の進学校が有利です。高2までに高校の全カリキュラムを終え、高3から受験対策に全力投球できるからです。そうした環境にない、勉強が目立ってできるわけではないお子さんは、一般入試で難関大に行くことがますます難しくなっています」(竹内)



