だが、そこは2021年にオープンしたオーセンティックかつモダンな雰囲気の店だった。
メニューを見ると、ロシア風羊肉串のシャシリクやピラフ、オリヴィエ・サラダ(ロシア風ポテトサラダ)、そして見た目はナポレオンケーキのような中央アジアでよく食べるメドヴィックなどのデザート類もあり、これらはすべて筆者もロシアで口にしたものばかりだった。
店内にはウズベキスタン人の若い男性たちやカップル、韓国人のファミリーグループなどもいた。店員は簡単な英語を話し、接客は穏やかで丁寧だった。
その店を出て食品スーパーを見て回ることにした。
この町にはハラール食品を扱う店とロシア食材をメインに扱う店の2タイプがあり、後者の店には各種ロシア食材が棚に豊富に並んでいて、中央アジアの定番スイーツのオレーシキ(練乳入りクルミ型クッキー)やブリャーニクなどの小麦菓子が袋売りされていた。ジョージアワインやウォトカのボトルも多数収められていた。これだけ充実した商品を揃えた店は日本では見たことがない。
韓国の在留外国人の数は日本と同様、年々増加しており、特に中央アジアや旧ソ連圏からの移住者が急増しているという。
韓国法務部の出入国・外国人政策本部が公表している最新の統計によると、在留外国人の国籍のトップは中国で、以下ベトナム、米国、タイ、それに続くのがウズベキスタン人で、10万人超だ。ロシア人も約7万人いるという。
最近は日本でも在留ウズベキスタン人が増えていると聞くが、国籍別では20位にすら入らない。そのことを考えると、韓国ではいかにウズベキスタン人が多いか理解できるだろう。
ウズベキスタンやロシアからの在留者がこれほど多い背景には、高麗人の存在があるという。コリア系民族の血を引く人々とその子孫である彼らに対して、韓国政府は少子高齢化による労働力不足などを補うため、「海外同胞」との位置付けから、就労制限の緩い「同胞ビザ」の発給を拡大している。
前出の韓国法務部の統計によると、ウズベキスタン国籍の高麗人は約4万5000人、ロシア国籍の高麗人は約4万人とされ、韓国で暮らす両国籍の人たちの半数近くが民族的にはコリア系の高麗人だといわれる。彼らはいわば祖国の地へ戻るかたちで定住を進めているのだ。


