前回に書いた「韓国でいちばんの移民街『安山多文化特区』の多国籍な人たちが織りなす驚きの週末の光景」というコラムで、ソウル郊外の安山市にあるロシア食材スーパーでウクライナから来た高麗人(コリョイン)の娘さんに出会った話を紹介した。
韓国で「高麗人」と呼ばれるのは、主にロシアや中央アジアの国々に暮らすコリア系住民のことで、近年、韓国に労働移民として移住して来た人たちのことだ。
韓国通の友人からは、高麗人の人たちが多く暮らす町があると聞いていた。前述の娘さんの存在が印象に残ったせいもあるが、その町である仁川広域市延寿区にある通称「ハムバク村」を訪ねることになった。
ウズベキスタンレストランを訪ねる
ハムバク村はソウル市中心部から地下鉄を乗り継ぎ、約1時間半。郊外電車の水仁・盆唐線の延寿駅を降りて、北に向かって10分ほど歩いた場所にある。
なだらかな坂道を下ると、広い車道の向こうがハムバク村だった。信号を渡って最初に目に入ったのは、韓国のコンビニ最大手「CU」の前に置かれた木製の椅子に座り込んでいた、明らかに中央アジア出身と思われる髭の濃い複数の男性たちがスマホを眺めながらくつろぐ光景だった。
彼らを横目に通りを進むと、街頭にキリル文字が見えてきた。「ワールドフード・アンド・カルチャーストリート」と名付けられた通りに軒を連ねていたのは、ロシアレストランや食材店に加え、トルコ風のケバブ(ウズベク人はトルコ系民族である)やピロシキを売る店、ウズベキスタンレストラン、看板にアラビア文字が書かれたハラール食材店もあった。
通りを行く人たちには、金髪の若いロシア人たちやベビーカーを押す中央アジア人のカップル、そして安山で見たコリア系とロシア系のハーフまたはクォーターだと思われる高麗人たちもいた。彼らの一部はロシア語を話し、またウズベク語を話す人たちもいた。
まず前述の友人から教えられた「チャイハナ」という名のウズベキスタンレストランを訪ねた。チャイハナとはトルコ語で「茶屋」を意味する庶民的な飲食店のことで、彼らのたまり場であり、憩いの場でもある。



