有害な上司は、思っている以上に身近な存在だ。市場調査会社The Harris Poll(ザ・ハリス・ポール)が実施した最新調査では、米国で働く成人従業員の10人に6人が「現在、有害な上司の下で働いている」と答えた。また、「これまでのキャリアで有害な上司を持った経験がある」と回答した人は10人中7人だった。
有害な上司を持つと、深刻な影響を被ることがある。「上司の行動のせいで、ストレスを感じたり、燃え尽きたり、メンタルヘルスが悪化したりした」と答えた回答者が半数近くいたほか、「ボーナスがもらえなかったり、昇進できなかったりしたことで金銭的な損失があった」と回答した人は3人に1人だった。
問題は必ずしも、有害な上司一人とは限らない。前述した最新調査では、「有害なリーダーシップは、上司個人の性格に欠陥があるというより、少なくともある程度は、組織の構造的なプレッシャーに起因する」と回答した人は71%に上っている。回答者の半数近くは、「勤務先の企業は、マネージャーの人材教育よりAIに多くの資金をつぎ込んでいる」と述べている。
「有害なリーダーシップは、上司の性格に欠陥があるからではない」と話すのは、ザ・ハリス・ポールの最高戦略責任者(CSO)リビー・ロドニーだ。「原因は、投資の失敗にある」
そうした背景も重要だが、だからといって、日々の苦労が軽減するわけではない。あなたが有害な上司を相手にしているなら、目標は、その週を無事に乗り切ることだけではない。目指すべきは、次にどう動くべきかを判断しながら、自分の信頼性と健康、キャリアの選択肢を守ることだ。
「有害な上司」の兆候
扱いにくいマネージャーが、必ずしも有害であるわけではない。ザ・ハリス・ポールは、有害な上司とは、職場で他に害を及ぼす振る舞いをする人だと定義している。例えば、お気に入りの部下を不当にひいきしたり、責任転嫁したり、余計な指示を出すなどマイクロマネジメントが行きすぎたり、他人のアイデアを横取りしたり、職業上の規範に反した振る舞いをしたりする上司だ。
上司のそうした行動が、一度だけでなく繰り返されてパターン化していたら要注意だ。上司が一貫して誰かを標的にし、そうした態度を見せることで、あなたが自分の判断に疑いを抱くようなら、気をつけた方がいい。
ザ・ハリス・ポールの調査参加者は、有害な上司に共通する特徴として、「不公平にえこひいきする」「部下を正当に評価しない」「責任転嫁する」ことを挙げた。履歴書作成プラットフォーム、LiveCareer(ライブキャリア)が実施した調査でもこれを裏付ける結果が出ており、「お気に入りの部下を優遇する上司を持ったことがある」と答えた人は36%、「上司に成果を横取りされたことがある」と答えた人は30%だった。
こうした上司の行動パターンに早めに気づいておくと、戦略的に対処する時間をより多く確保でき、反射的な対応をせずに済む。起こっていることを早めに言語化すれば、それだけ自分を守りやすくなる。



