私は複数の組織で、同じ展開を何度も見てきた。
CEOや上級リーダーが「サステナビリティについて何かするべきだ」と言う。会議室では賛同の声が上がり、全員がうなずく。戦略上の優先事項のように感じられる。
そして、その仕事は誰かに引き渡される。
サステナビリティ担当者、施設管理チーム、あるいは組織のどこかにいる小さなグループへと回される。彼らが何とかするはずだ、という期待のもとで。数カ月後、進捗は限定的だ。報告書が作られることはある。いくつかのプロジェクトが動き出すかもしれない。だが取り組みは停滞する——あるいはさらに悪いことに、意味のある事業価値を生まないまま続いてしまう。
外から見ると、不作為のように映ることもある。だが実際には、もっと微妙なことが起きている。
その仕事は「委任」されただけで、「オーナー」がいないのだ。
多くのリーダーが見落とすパターン
いまだに多くのリーダーが、脱炭素化を「割り当てられる仕事」として扱っている。本来は、能動的に後ろ盾となって推進しなければならないものなのに。
その理屈は理解できる。テーマは専門的に見える。データや報告フレームワーク、技術的な意思決定も伴う。専任チームが前に進めてくれる、と考えたくなるのは自然だ。
しかし実際には、脱炭素化は事業の中核を横断する。オペレーションでエネルギーをどう使うか、サプライヤーをどう選定し管理するか、製品をどう設計し提供するか——そのすべてに関わる。
それらの意思決定は、1つの機能に収まらない。オペレーション、調達、財務、プロダクトの各チームにまたがる。
リーダー層でオーナーシップが明確でないと、取り組みは組織の中層に閉じ込められる。チームは制約の中でできることをするが、多くの場合、リソースは不足し、より広範な意思決定に影響を与える権限もない。結果として生まれるのは「活動」だが、「整合」ではない。
もはやビジネスケースだけでは不十分な理由
長年、「強力なビジネスケースが行動を促す」という前提があった。コスト削減や財務的な上振れが見えれば、取り組みは前進するはずだ、と。
だが私の経験では、それだけではもはや不十分である。
いま、多くの組織は「なぜやるのか」を理解している。データも見ている。顧客・投資家・規制当局の期待も認識している。しかし、その理解が、求められるスピードや規模での実行に結びついていない。
最近のCEO調査では、ESG(環境・社会・ガバナンス)をめぐる世論の語り口が変化する中でも、気候関連リスクが依然として企業リーダーにとって重要な懸念であり続けていることが示された。企業は、顧客要件、グローバルな規制、サプライチェーンの期待によって、なお前へ引っ張られている。市場の多く——とりわけミドルマーケット企業とそのサプライヤーにおいて——は、後追いの対応になりつつある。
要請は大口顧客から届く。報告要件は増える。期限は厳しくなる。仕事はプレッシャーの下で立ち上がるが、多くの場合、それをうまくやり切るために必要なリソースや部門横断の整合が欠けている。
問題は、オーナーシップと実行力の欠如にある。
取り組みが破綻するポイント
明確な後ろ盾のないまま脱炭素化が委任されると、予測可能ないくつかの事態が起きる。
1. スコープが狭まる。チームは自分たちがコントロールできる範囲——報告、小規模プロジェクト、点在する改善——に集中し、より大きな仕組み全体には踏み込めない。
2. 仕事が分断される。組織の各部門が、共通の計画や優先順位付けなしに、それぞれ独自に動く。
3. 価値を取りこぼす。取り組みは完了しても、コストエクスポージャーの実質的な低減、レジリエンスの向上、競争優位の強化につながらない。
いずれも意図的に起きるわけではない。構造的な問題だ。リーダーがオーナーシップを持たないと、取り組みは「最も実行しやすいこと」へと収れんする——「最も重要なこと」ではなく。
リーダーが取るべき別の道
出発点は、新しいフレームワークでも、より詳細な計画でもない。オーナーシップを確立することだ。
そのためには、最初に異なる問いを立てる必要がある。
• この組織で「活動」ではなく「成果」のオーナーは誰か?
• どの機能が最初から同席する必要があるのか?
• 既存の設備投資計画やオペレーション上の優先事項と、どこで交差するのか?
そこからの目標は、何十ものイニシアチブを立ち上げることではない。事業がすでに意思決定している方法——資金の使い方、サプライヤー管理の仕方、資産の運用の仕方——と整合する、焦点を絞った行動のセットを特定することである。
言い換えれば、取り組みは事業の上に「付け足す」のではなく、事業の中に「埋め込む」必要がある。
不作為を超えたリスク
最大のリスクは「何もしないこと」だ、という見方が広がっている。だが実際には、それと同じくらい重要な別のリスクがある。すなわち、その価値を引き出さないまま仕事だけを進めてしまうことだ。
脱炭素化を委任タスクとして扱う組織は、進捗の遅さと限定的なインパクトに引き続き直面するだろう。
一方で、リーダーがオーナーシップを持つ部門横断の優先事項として扱う組織は、コストとリスクが実際にどこにあるのかを見極めやすくなり、投資の優先順位付けをより効果的に行い、市場の期待にも自信を持って応えられる。



