【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

経営・戦略

2026.06.25 10:57

AIエージェントがカスタマーサービスで実際にできること──選び方のポイント

stock.adobe.com

stock.adobe.com

AIエージェントは顧客に応答するだけではない。人間が関与することなく、顧客の問題を自律的に解決する。

Salesforceの2025年11月の「State of Service」レポートによれば、サービスコールの約3分の1はすでにAIが対応しており、その割合は2027年までに50%に達する見込みだ。しかし、そのうちどれだけの割合が、人間の介入なしにAIによって解決されている(あるいは解決され得る)のか。これはまったく別の問いである。

AIエージェントはもはやエンタープライズだけのものではない。中小企業(SMB)は、コスト削減、対応件数の処理、そしてサービス品質で大手と競うために導入を進めている。

本ガイドは、これらのツールを初めて評価する中小企業の経営者や運営責任者に向けたものである。

カスタマーサービス向けのエージェンティックAIエージェントとは何か

当初、AIエージェントは非エージェンティックであり、チャットボットやAI搭載サポートプラットフォームに似たものだった。だがこの用語は曖昧に使われがちで、購入判断の際には違いが重要になる。

チャットボット、AI搭載サポートプラットフォーム、AIエージェントの違い

「AIエージェント」という言葉には業界内で厳密な意味があるが、市場を眺めているだけではそれが分からない。真のAIエージェントは、問題を推論し、自律的に行動し、人間が一手一手を指示しなくても複数ステップのタスクを完了できる。

しかし、そのラベルで販売されている大半は、こうしたことのいずれもできない。代わりに提供されているのはAI搭載のカスタマーサービスソフトウェアであり、それ自体は本当に有用な場合もあるが、同じものではない。

この区別は重要である。「AI agent」で検索して最初に出てきたものを買うと、名称が示唆する能力よりはるかに低いものを購入してしまう可能性が高いからだ。

以下の表はその違いを説明している。

真のAIエージェントは一般にチャットボットの2〜3倍のコストがかかる。しかし、問題を解決できないチャットボットは、コストをサポートチームに付け替えるだけである。

なぜ中小企業はいまAIエージェントを導入しているのか

PwCの「AI Agent Survey」によれば、すでにAIエージェントを導入した企業の3分の2が、測定可能な生産性向上を報告している。半数超は実際のコスト削減と意思決定の迅速化を実感しているという。また、54%はAIエージェントが顧客体験の改善に寄与したと回答した。

今日の顧客は、チャット、メール、ソーシャルなど、どこから問い合わせても迅速な回答を期待している。これらすべてのチャネルを24時間体制でカバーできるだけのスタッフを雇うのは、ほとんどの中小企業にとって現実的ではない。基本的なチャットボットは手頃だが、使ったことがあるなら、すぐに限界に突き当たることも知っているはずだ。AIエージェントはまったく別物である。フルサポートチームを抱えるほどの間接コストを負うことなく、複雑で複数ステップの会話をチャネル横断で処理できる。

調査対象のエグゼクティブの約4分の3は、今後12カ月でAIエージェント戦略が重要な競争優位になると見ており、46%はすでに遅れを取っていることを懸念している。これはエンタープライズ同士の競争に限らない。より迅速に動く他の中小企業との競争において、中小企業も同様にその影響を受けることになる。

AIエージェント・プラットフォーム選定で確認すべきポイント

AIエージェントが成果を出すことを理解するのは一つの話である。中小企業がつまずきやすいのは、適切なプラットフォーム選びだ。AIエージェント・プラットフォームはどれも同じ設計ではない。誤った選択は、使えない機能に支払うことになったり、いずれ手狭になるものに囲い込まれたりすることを意味する。どのプラットフォームにもコミットする前に、次の6つの要素を評価する価値がある。

1. 解決能力

どのベンダーに対しても最も重要な質問は、そのエージェントが実際に問題を解決するのか、それとも単に振り分けるだけなのか、という点である。顧客の問い合わせをトリアージして人間に引き継ぐだけでは、すでにある仕組みと比べて大きな改善とは言い難い。

デモの想定シナリオではなく、実際の顧客対応における解決率が文書化されているプラットフォームを探すべきだ。その実績こそが、AIが本当に仕事をしているかどうかを見極める最も明確なシグナルである。

2. オムニチャネル対応

顧客は1つのチャネルだけで問い合わせてくるわけではなく、AIエージェントも1つに限定されるべきではない。チャットには対応できるがメールにはできない、あるいはメールにはできるが音声にはできない、といったプラットフォームは、結局チームが埋めるべき抜け穴を生む。

目標は、単一のプラットフォームであらゆるチャネルを一貫して管理し、テキストでも電話でもメールでもチャットウィンドウでも、同じ品質の回答を提供することである。

3. 非技術チームにとっての使いやすさ

エージェントを更新したいたびにサポートチームがエンジニアリングにチケットを出さなければならないなら、そのプラットフォームはすぐに摩擦を生む。優れたプラットフォームは、サポートの責任者が自分でエージェントを設定し、調整し、再学習させられる。この自立性はとりわけ中小企業で重要だ。エンジニアリング資源が限られ、サポートニーズが素早く変化するからである。

4. 既存ツールとの統合

CRM、ヘルプデスク、ナレッジベースと連携できないAIエージェントは、目隠しをしたまま働いているようなものだ。正確で有用な回答をするには、顧客履歴、未解決チケット、既存ドキュメントにアクセスできる必要がある。どのプラットフォームにもコミットする前に、接続すべきツールを洗い出し、その統合が「機能一覧に書かれている」だけではなく、実際に存在し、機能することを確認するべきである。

5. 責任あるAIとガバナンス

この項目は、特に中小企業では必要以上に見落とされがちだ。エージェントが顧客データ、請求に関する質問、あるいは機微な内容を扱うなら、どのように意思決定し、どこで人間が監督するのかを把握する必要がある。明確な監督コントロール、エージェントの推論過程の可視性、関連するコンプライアンス認証を備えたプラットフォームを探すべきである。ガバナンスの不備は単なる技術問題ではなく、顧客の信頼の問題である。

6. スケーラビリティ

いまの事業に合うプラットフォームは、サポート量が2倍になったり、新たなチャネルに拡大したりしても適合しなければならない。成長の途中でのプラットフォーム切り替えは高コストで、混乱を招く。価格とアーキテクチャがどのようにスケールするのかをベンダーに直接確認し、現在の自社と同じ地点から始めた企業の事例を探したい。

検討に値するAIカスタマーサービス・プラットフォーム

以下のプラットフォームは、提供内容を明確に「エージェンティック」と位置づけており、人間を補助するだけでなく自律的に行動できるとしている。各社について知っておくべき点は次のとおりである。

Zendesk

Zendesk AI for customer serviceは、あらゆるチャネルで顧客の要望にエンドツーエンドで対応するAIエージェントを展開しつつ、人間の担当者が対応する会話については関連ナレッジにリアルタイムでアクセスできるようにする。このリストの中でもより確立されたプラットフォームの1つであり、それはガバナンスのアプローチにも表れている。Zendeskは、透明性と人間による監督コントロールが明確なAIマネジメントシステムに関するISO 42001認証を保持しており、同等のインフラを持たずともエンタープライズ級の信頼性を求める中小企業に適した選択肢となる。

Tidio Lyro

Lyro Conversational AI Agentは、基本的な自動化より高機能でありながら、エンタープライズ向けプラットフォームほど複雑ではないという、有用な中間領域に位置する。チャット、メール、ソーシャルメディアにまたがって顧客との会話を処理しつつ、注文状況の確認、顧客記録の更新、予約の設定など、ビジネスシステム内で実際のアクションを実行し、必要に応じて人間へエスカレーションする。回答はすべて、検証済みのサポートコンテンツに基づいており、正確性を保つ。Lyroは、エンタープライズ級の複雑さやコストなしに、真のエージェンティック能力を求める中小企業向けに設計されている。

Fin(旧Intercom)

Fin AI Customer Agentは、人間の介入なしに顧客の質問の半数超を処理し、社内コンテンツ、Webサイト、PDF、データベースから回答を抽出して45言語に対応する。特徴は、既存の業務システムとの深い接続性にある。顧客データの取得と更新、アカウント変更の処理を行い、Salesforce、HubSpot、Freshdesk内で直接アクションを実行できる。すでにそれらのツールを運用している中小企業にとって、この統合レベルは、エージェントが単に質問に答えるだけでなく、実際に行動することを意味する。

Gorgias

AI Agent GorgiasはECブランド向けに特化しており、このリストの他のツールとは異なる性格を持つ。注文状況、返品、配送更新を含むECサポート全般を扱い、会話の中で商品を推薦できるショッピングアシスタントとしても機能する。問い合わせの約60%を自律的に解決し、80以上の言語をサポートし、ShopifyなどのECプラットフォームと直接統合してリアルタイムの注文・在庫データにアクセスする。オンラインで販売している事業者なら、詳しく検討する価値がある。

Freshdesk

Freddy AI AgentはFreshworksの自律型カスタマーサポートおよびITサービスエージェントであり、単一のプラットフォームからFreshdesk、Freshservice、Freshchatを横断して質問に対応する。メール、チャット、音声、メッセージングにまたがって、人間の介入なしにサポートプロセス全体を管理する。特定のユースケース向けにカスタムエージェントを構築できる柔軟性により、基本的な自動化を卒業したがエンタープライズの複雑さには踏み込みたくない中堅の中小企業にとって実用的な選択肢となる。すでにFreshworksのエコシステムにある企業なら、統合はシームレスだ。

購入前に確認すべき質問

ここでは、中小企業の意思決定者が契約前にどのベンダーにも確認すべき質問を挙げる。

  • 平均の解決率はどの程度か?
  • 製品やポリシーが変わった際、エージェントはどのように更新されるのか?
  • どのようなガバナンス・コントロールが用意されているのか?
  • 自社向けにAIを設定し学習させるまでに、どれくらいの期間がかかるのか?
  • AIが質問に答えられない、あるいは行き詰まった場合はどうなるのか?
  • 会話単位または解決チケット単位のコストはいくらか?
  • 自社に近い企業の実際の顧客データを見せてもらえるか?
  • 既存ツールとはどのような連携が可能か?
  • 顧客データのプライバシーとセキュリティをどのように扱うのか?

導入の第一歩:初回のAIエージェント展開に向けたシンプルな道筋

適切なAIエージェント選びとは、最先端技術を選ぶことではない。顧客の問題を確実に解決し、事業の成長に合わせてスケールし、顧客が期待する透明性と説明責任のもとで運用できるプラットフォームを見つけることである。

まずはリスクの低い対応から始める

最も賢い始め方は、範囲を絞ることだ。注文状況の確認、パスワードリセット、基本的なアカウント問い合わせといった、高頻度で低難度のユースケースを1つ選ぶ。こうした対応は、チームが週に数十回から数百回処理しており、答えも大きくは変わらず、失敗しても顧客関係を深刻に損なうリスクは高くない。

まず基準となる指標を設定する

本番稼働の前に、成功の定義を具体的に決めることだ。解決率、平均処理時間、顧客満足度スコア、エスカレーション率。自社にとって重要な指標を1つか2つ選び、導入前後で測定する。

そうすれば、チャネルを追加したり、より複雑なユースケースを加えたりすることは、実績のない投資を承認してほしいとリーダーに求めるより、はるかに社内で通しやすくなる。AIエージェントをうまく導入できる企業は、最も洗練された構成で開始した企業ではない。具体的な一点から始めた企業である。

問題が本当に解決されると、顧客は気づく

2027年までに、AIはサービスコールの半数を処理するようになる。自社にとって重要なのは、そのやり取りが顧客の問題を実際に解決しているかどうかだ。エージェンティックAIエージェントは、そのために設計されている。

forbes.com 原文

    タグ:

    advertisement

    ForbesBrandVoice

    人気記事