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食&酒

2026.07.03 15:15

美食家が説く『ノンアルコールの流儀』、「酒注文前提」の店での知恵と教養

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著名フーディー、人気レストラン紹介メディア「タケマシュラン」主宰のタケマシュラン氏は「これまでに数百人とフランス料理の会食を重ねてきた」という食の達人だ。氏が紹介した店は「即日で予約が取れなくなる」とも言われるほどの影響力を持つグルメインフルエンサーでもある。料理の味のみならず店の雰囲気、サービス、哲学までをオールラウンドに見る氏の辛口グルメレビューは絶妙なユーモアと皮肉にくるまれた容赦ない舌鋒に定評があり、絶大なファン層の厚さを誇る。

Forbes JAPANでは今後書き下ろし寄稿で氏の哲学思想を紹介していく。

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ソロ客でも食を堪能、悪目立ちせず店にも嫌気されない。これが「孤食の流儀」だ


飲めない・飲まない事情はあれど━━

今回取り上げるのは、飲食店におけるノンアルコールの是非です。ソフトドリンクや水だけで長居するゲストが経営を圧迫しているとして、酒を飲まない客に事実上の退店を促したり、「最低〇杯は注文すること」といった独自ルールを設ける飲食店の存在が、定期的にSNSを賑わせています。

店側の言い分は明快です。多くの飲食店はアルコール注文によって収益を支える構造になっています。ソフトドリンクのみで席を占拠されれば客単価が下がり、経営を圧迫する。飲まない客に難色を示す店主の声は、決して的外れではありません。

一方、客側にも言い分があります。妊娠中や療養中、宗教上の理由、あるいは翌朝の予定など、飲めない・飲まない事情は人それぞれであり、アルコールを介さずとも食体験そのものを目的とする客層は確実に広がっています。メニューに載っている以上、何を注文しようと客の自由ではないか、という主張です。

酒離れ、食材と光熱費の高騰、そして多様化するライフスタイル。経済的合理性を守ろうとする店側と、それぞれの事情を抱えて席に座る客側。双方の言い分には、それぞれの道理があります。果たして「酒を飲まない」前提で飲食店に臨むことは、是か非か。この問いを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

筆者のスタンス

白状しておくと、私はかなりの酒飲みです。フランス料理の席ではボトルワインをひとり1本以上空けることが当たり前になっています。だから正直に言います。他のテーブルに「お水で結構です」「ジンジャーエールで」というゲストがいると、店側が得るはずだった利益の不足分を彼らの代わりに私が補填しているような、妙な気分になります。

もっとも、そういう仕組みであることは百も承知です。酒を飲みたいのは他でもない自分自身なのだから割り切るしかありません。お金の計算をするより、アルコールが好きです。愛していると言っても差し支えありません。

「構造的に解決すべき問題」

しかしながら、そもそもフランス料理とはワインと合わせて初めて完成する食文化です。フランスの片田舎のレストランで「水で結構です」などと言おうものなら、「あんた具合でも悪いのか? 大丈夫か?」と店側が本気で心配するほど、料理の味付けはワインの存在を前提に組み立てられていることが多い。

にもかかわらず、ノンアルコールで臨んだ挙句「塩気が強すぎ」などとネットに書き込む行為は、スキー場に出かけておいて「寒かったです。再訪はありません」と不満を漏らすのと何ら変わりません。

もちろん、飲む飲まないは個人の自由です。体質や宗教上の理由もあるでしょう。しかし、アルコールをしっかり注文し店の収益に貢献している客がいる一方で、「お水で結構です」「ワンオーダー必須? ちっ。じゃあウーロン茶1杯で」と涼しい顔をしているゲストが、お店側から、そして店内の他の酒飲みたちからどう見られているか。胸に手を当てて、一度じっくり考えてみてほしいのです。

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文=タケマシュラン 編集=石井節子

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