そもそもお店のルールを決めるのはお店
そもそも、お店のルールを決める権限はお店にあります。公共施設でもないプライベートな空間のルールが気に食わないのであれば、他の店に足を向ければよいだけの話です。なに、飲食店など星の数ほどある。
念のため私の顧問弁護士(彼もなかなかの酒飲みです)に確認したところ、飲食店はあくまで私的な空間であり、営業上のルール設定は基本的に店側の裁量に委ねられているとのこと。
写真撮影禁止、フラッシュ禁止、動画・ライブ配信禁止、通話禁止、パソコン作業・勉強の禁止、子連れお断り、香水禁止、ドレスコードの設定、代表待ち禁止、個別会計お断り、現金払いのみ、シェア禁止、一人客お断り、紹介制・会員制、女性専用、年齢制限、持ち込み禁止、時間制限、ペット禁止、全席禁煙、独自のキャンセルポリシー……飲食店が設けるルールは枚挙にいとまがありません。「ノンアルお断り」もまた、その数多あるルールのひとつに過ぎないというわけです(もちろん人種・国籍・障害などを理由にした入店拒否は別の議論です)。
かつてネットのない時代、飲食店は人づてに訪れるものでした。口コミとは文字通り「口から口へ」伝わるものであり、そもそも酒飲みが集う店を下戸に紹介する人間などいませんから、店の雰囲気や暗黙のルールは紹介者が自然に伝えてくれたため、わざわざ明文化する必要などなかったのです。
しかし今や事情は一変しました。ネットで情報を得た誰もが話題の店に足を運べる時代です。言語や文化の異なる外国人観光客が、地図アプリの母国語訳された口コミを頼りに、予約なしで突撃して来ることも珍しくありません。マナーや文化的背景を共有しない客層が一定数生じるのは、もはや覚悟しておかなければならない現実です。
加えて、飲食店を「飲食」ではなく「食」だけを楽しむ場所として捉える客層の変化も重なります。是非はともかく、これが時代の流れです。
粋な店ほどルールなど設けたくないでしょう。しかし最早そうも言っていられない。アルコールを楽しんでほしい店と飲まない客とのミスマッチを防ぐために、「お酒を飲まない方はご遠慮ください」「ツードリンク制」「アルコールを注文されない場合はチャージ2千円」といったルールをSNSや店頭で事前に明示する動きが広がっているのは、むしろ自然な流れと言えるでしょう。
当事者でもない第三者が「店の存続のために飲むべきだ」「酒を頼まないのはマナー違反」と声高に訴えSNS上で論争するよりも、お店側がルールを可視化した方がお互いにとって誠実です。
これは感情論ではなく、構造的に解決すべき問題です。ルールを明確にする店が増えれば、客側も納得した上で「では他の店にしよう」と判断できるようになる。店は自分のビジネスモデルに合った客を積極的に選んでいけばいい。


