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食&酒

2026.07.14 14:15

「熟成期間至上主義」からの脱却、スペインワインの『クレイジー』な醸造プロセスを見た

リオハの伝統的な熟成格付けの基準となる、225リットルのオーク樽

あとがき

実は筆者にとってバスクを訪れるのは8度目になる。今回はバスク沿岸部からカンタブリア山脈を越えてリオハへと至るルートを巡ったが、ワインという視点を通して現場を歩くことで、見慣れた土地の異なる側面が見えてきた。独自の食文化を共有してきた美食倶楽部の背景や、現場を牽引するバスク女性たちの姿。そして気候変動や従来の格付け制度といった課題に対し、現実的な戦略を講じる生産者たちの現状──。一杯のワインの背景には、その土地が歩んできた歴史と、現在のビジネスのリアルな姿が結びついているのだ。

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『15か国・地域を飲んで旅する ワインの世界地図』(水上彩著、ダイヤモンド社刊)
『15か国・地域を飲んで旅する ワインの世界地図』(水上彩著、ダイヤモンド社刊)

【初めて書籍を執筆してみて 3(続き) ━━目指すはワインの名誉回復】

初めての自著『15か国・地域を飲んで旅する ワインの世界地図』のあとがきにも記しましたが、今の社会は「タイパ」や「コスパ」ばかりがもてはやされ、無駄を省くことが正義とされているかのようです。世界的な健康志向もあり、アルコール=悪という風潮すらあります。

目指すはワインの名誉回復

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でも、人生において効率だけを追い求め、すべての余白を切り詰めてしまう生き方は、本当に豊かなのでしょうか。ワインには、手っ取り早い効率はありません。ワインビジネスは数年数十年単位で気長に取り組まないと結果が出ない世界ですし、そもそも飲み手にしても、酔っぱらって翌日使い物にならなくなったり……(私のことです)、効率とは無縁な世界です。

それでも、ワインには人生を豊かにしてくれる力があると断言できます。私はワインに出会ったことで、世界を見る目が劇的に変わり、人生が好転しました。この本は、そんな効率化社会への小さな反逆であり、不当に悪者にされがちな「ワインの名誉回復」の試みでもあります。

『ワインの世界地図』というタイトルですが、私が本当に伝えたかったのはワインそのものではありません。ワインをきっかけに世界へ目を向けることです。 世界には、まだ私たちの知らない国や文化や歴史がたくさんあります。この本を閉じたあとに、「ワインって面白い」ではなく、「世界って面白いな」と思ってもらえたら…… それが著者として、いちばん嬉しい読後感です。

文=水上彩 編集=石井節子

2026年8月号発売中

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