つまり、十分な量のコンクリートを削り取れば、鉄筋を切断せずとも橋を落とせる。小型のクワッドコプター(回転翼4枚のドローン)たちはこのやり方で、くぼみの上に4.5mかそこらの高さで架けられ、およそ30mにわたり2車線の道路を通していた橋全体を崩落させた。
新たな橋梁破壊兵器
こうした戦術は、作戦上の秘匿性を保つために公表されていないだけで、すでに双方によって広く用いられている可能性がある。ドローンが狙った箇所に迷いなく向かっていく様子からは、操縦士たちが十分に訓練されていることがうかがえ、以前に同様の攻撃をした経験もあったのかもしれない。ウクライナ側にとっても、こうした攻撃はおそらく想定外のものではないだろう。それでも、脆弱な橋には最低でも防護ネットを設けるといった対策をとる必要性を示すものではある。
高い精度のため、これはきわめて効率的な攻撃手法となっている。使用された弾薬量は合計で約110kg未満とみられ、第二次世界大戦中に橋1本を破壊するために平均320tもの爆弾が投下されたのに比べれば格段に少ない。
また、この作戦は驚くほど低コストでもある。FPVドローン43機の機体コストはおそらく合計で2万5000ドル(約400万円)足らずで、米軍の精密誘導爆弾1発の半分程度にすぎない。爆弾を投下するジェット機も必要ない。ATACMS1発の費用で、この種の攻撃を40回程度実施できる計算になる。
今回の攻撃では使用されたFPVドローンは標準的なタイプだったようだ。ウクライナの場合、鉄筋やその他の構造材を切断できる線形成形炸薬を搭載したFPVドローン用弾頭を保有していることも知られている。2025年6月の「クモの巣作戦」でロシア軍機への攻撃に使用された。こうした弾薬を使えば、もっと少ない命中数で橋を破壊できるだろう。
映像に見える日照の変化から判断すると、これらのFPVドローンによる連続攻撃は何時間もかけて行われたようだ。1人の操縦士が多数のドローンを同時に制御できるウクライナの「パシカ」のようなシステムを利用すれば、複数機を周辺空域で待機させながら順次目標に突入させていくことが可能なので、このような攻撃は数分で完了できるかもしれない。
橋脚は動かない目標であり、視覚的にも識別しやすい。したがって、橋脚を攻撃するようマシンビジョン(機械視覚)システムをプログラムするのは比較的容易だろう。そうすれば、操縦士がドローンを直接制御する必要すらなくなる。
FPVドローンは短距離兵器と見なされることもあるが、固定翼を追加で装着すると100km先の目標も攻撃できる。また、ドローン母機に積んで運搬すれば数百km離れた目標にも到達可能であり、この戦術は双方に広がりつつある。


