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経済

2026.06.30 15:15

連続赤字部門を2桁成長へ、営業経験ゼロのコカ・コーラBJH副社長が仕掛けた「異色の組織再生劇」

コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 代表取締役副社長 荷堂真紀

コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 代表取締役副社長 荷堂真紀

過去3年間で約390億円の事業利益の改善を果たしたコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(コカ・コーラBJH)。変革を主導したのは、同社初の女性副社長、荷堂真紀だ。彼女がいかにして巨大組織の聖域を打破し、同社の稼ぐ力を再構築したのかに迫る2回シリーズ。

後編では、指示命令系統にない現場の責任者達を動かした調達改革や、赤字続きの不採算部門を2桁成長へと導いた再生劇、5児の母ならではの本質的なDE&I施策に迫る。売上1兆円の目標へと突き進む、異色リーダーの経営哲学とは。

効くのは正論より「功績のパッケージ」

前編で触れた荷堂の大胆な構想力。その背景には、彼女の異色のキャリアがある。荷堂は香川大学工学部時代に学生結婚し、卒業後の1992年、日本電気(NEC)にエンジニアとして入社した。その後、キャラクターの版権管理会社を経て、マイクロソフトに派遣社員を経て正社員として入社。米国本社赴任も経験した。セールスフォース・ドットコムでの購買部長を経て、コカ・コーラグループに参画したのは2014年のことだ。

外資系IT企業で合理性とスピードを培ってきた荷堂が、17年のコカ・コーラBJH発足時に執行役員 調達統括部長としてまず直面したのが、前述の聖域の壁だった。当時、統合されたコカ・コーラボトラーには各社が築いてきた地域の取引先との関係があり、コスト構造をダブつかせていた。そこで荷堂は、全社での集中購買を推し進めた。

中でも当時、売上や生産に直接関係しない間接材(例:事務用品や採用、工場の修理修繕など)の支出は数千億円に上り、領収書ベースで実態が掴めない状況だった。荷堂は年10万件超発生していた伝票処理を統合する購買システム導入を主導。調達を可視化し、一元管理できるようにした。

当然、地方の工場長や営業所の責任者などを中心に反発が起きた。ここで荷堂が用いたのが、「指示命令系統にない人間を動かす(Influence without authority)」ためのアプローチだ。

「誰かに何か重要なことをしてもらおうと思ったら、正論をぶつけるのではなく、その人が一番やりやすい形で、その人の功績になる『パッケージ』にして提案する必要があります。当時、工場長には『工場の修理修繕の手配といった煩雑な業務は私たちに任せて、安心・安全な飲み物を作る本業に集中していただきたい。それが会社があなたに望んでいることです』と伝えました。そして、その工場が目標を達成した暁には、『調達部門と連携し、これだけのコストを削減しました』と工場長から直接社長に報告してもらいました」(荷堂)

全体最適の「鳥の目」と、現場リーダーの感情やメンツも考慮する「虫の目」、両方を併せ持つ荷堂の施策は、5年間で数百億円規模の調達コスト削減につながった。

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文 =堤美佳子 編集=大柏真佑実 撮影=西川節子

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