144億の赤字を覆した、「収益力」の改善
荷堂が牽引してきた数々の改革が影響し、コカ・コーラBJHの事業利益は回復。22年12月期には144億円のマイナスだったが、25年12月期には245億のプラスに転じた。3年間で、389億円の事業利益改善を果たしたことになる。荷堂は「利益率を上げる」ことにフォーカスする理由を、次のように語る。
「会社として存続し続けられる『体力』が必要だからです。短期で利益を絞り取るようなやり方もありますが、私たちは100年後も、安全で美味しい飲み物を消費者のそばに届け続けたい。サステナビリティや社員のウェルビーイング、地域社会への貢献を実現するには、まず『収益力』をつける必要がある。理想を語るには、それを実行する資本が不可欠です」(荷堂)
業績好調を背景に、25年8月には新中期経営計画「Vision 2030」を発表。従来の目標を上方修正し、30年までに「売上収益1兆円以上」「事業利益800億円以上」という攻めの数字を掲げる。
「Vision 2030を提案したとき、身が引き締まるほどの強い緊張を覚えました。でも、成長を確信させる要素が積み上がってきているので、決してできない目標ではないと思います」
そう話す荷堂は、ビジネスで合理性を貫く一方、プライベートでは2男3女、計5人の子を育て上げた母でもある。
荷堂は香川大学工学部時代に学生結婚し、卒業後の1992年、日本電気(NEC)にエンジニアとして入社した。NECでは行政機関の極秘システムをつくっていたが、子どもたちに説明できる仕事がしたいと、海外キャラクターの版権管理会社に転職。その後、派遣社員としてマイクロソフトに勤務した後、同社に正社員として入社。米国本社赴任も経験した。セールスフォース・ドットコムでの購買部長を経て、コカ・コーラグループに参画したのは2014年のことだ。
海外出張も多く、多忙を極める中でも「仕事を辞めようと思ったことは一度もない」という。荷堂は自身の性格について欲張りだと言い、笑う。
売上収益1兆円の目標に向けて、彼女はこれから巨大ボトラーの未来をどう塗り替えていくのか。
荷堂真紀◎かどう まき 広島県生まれ。1992年香川大学を卒業後、NEC入社。海外キャラクターの版権を扱う企業、外資系IT企業勤務などを経て、2014年にコカ・コーラ イーストジャパン入社。17年コカ・コーラ ボトラーズジャパンの執行役員 調達統括部長。その後、グループ内の要職を経て、現在はコカ・コーラ ボトラーズジャパン 代表取締役副社長 フードサービスカンパニー プレジデント 最高経営戦略責任者 兼 経営戦略本部長、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 代表取締役副社長 役員室長 兼 社長補佐



