営業経験ゼロで挑んだ、連続「赤字部門」の再生
さらに、営業改革も断行した。23年1月には社内カンパニー制を導入。それまでひとりの責任者によって管理されていた3つの主幹事業、「ベンディング(自販機)」「OTC(スーパー・コンビニなどの手売り)」「フードサービス(レストラン・売店向け)」を、責任の明確化と意思決定の迅速化により収益拡大するため、それぞれビジネスユニットとして独立させた。
同戦略を率いた荷堂自身も、24年1月にフードサービスカンパニーのプレジデントに就任した。しかし、同領域の主要取引先は大手外食チェーンやシネコンなどであり、競合との激しい価格競争が求められる。そうした背景から赤字が続き、コロナ禍以降はさらに数字が落ち込んでいた。
そんな問題ユニットを率いることになった荷堂だったが、実は営業経験が全くなかった。しかしそれを逆手に取り、ゼロから必要な知識を補い、組織を再生させていく。独学で営業を勉強しつつ、1都2府35県の同ユニット現場社員、数百人と面談。厳しい状況に置かれ、失われていた社員たちの自信を回復するところから始めていった。
「上位下達でやってたことを全部忘れて、『自分がもしレストランのオーナーだったらどうするか考えてほしい』と伝えました。やってダメならすぐに変えればいいから、みんなで声を上げていこうと」(荷堂)

当初は荷堂が面談で事業の課題やアイデアについて質問しても、ほとんどの社員から実のある答えは得られなかった。しかし、半年を経た頃から徐々に様子が変化。荷堂に顧客からのフィードバック共有や改善の提案をする社員が増えていき、営業成績も上昇していったという。
さらに、荷堂は日本市場特有の「伸びしろ」に着目した。水やお茶が無料で提供される日本では、欧米と比べ飲食店での飲料注文率が低い。「私たちは飲み物を売っているのではない。ソリューションと体験を売っているんだ」と社員に意識改革を促し、地域名物とコカ・コーラ製品のペアリング提案など、クロスセル戦略を徹底させた。その結果、フードサービスカンパニーは24年から25年にかけて売上収益が8.3%、事業利益が27.5%の成長を遂げた。


