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欧州

2026.06.25 13:45

欧州テック逆襲のシナリオーーNEXUSルクセンブルクから見えた未来戦略

「NEXUS Luxembourg 2026」のメインエントランス

12兆ユーロの巨大資本とリスクテイクの覚醒 

他国に依存しない独自の基盤を築くためには、卓越した技術だけでなく、それを支える巨額のリスクマネーと野心が不可欠となる。かつてルクセンブルクは、国家の富の10%を人工衛星の軌道(静止衛星)確保に投資するという歴史的な大ギャンブルを成功させ、現在の繁栄の礎を築いた実績がある。

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この果敢なリスクテイクの精神が、今の欧州全体に強く求められている。フリーデン首相は、欧州の銀行口座に眠る約12兆ユーロもの膨大な個人貯蓄の存在に言及した。この莫大な資本の大半が安全資産に滞留している現状を打破するため、資金をAIやディープテックのスタートアップへと円滑に振り向ける「貯蓄・投資同盟(旧資本市場同盟)」の推進を強く訴えた。同時に、極端にリスクを避ける欧州の金融文化を変革し、年金基金や銀行がイノベーションを後押しできるよう、過度な規制が投資を阻害しない環境を整備する「規制緩和」の必要性を力説した。こうした次世代育成に向けた実践的な土壌作りとして、会議内では総額10万ユーロ以上の賞金が懸けられたスタートアップやスケールアップ向けのピッチコンテストも白熱した。

インフラ投資のハードル低下と欧州クラウド大手の攻勢

クラウドインフラの領域では、欧州のクラウド大手「OVHcloud」が急速に存在感を増している。同社はルクセンブルクの通信大手ポスト(Post)グループなどと連携し、欧州委員会から1億8000万ユーロ規模の主権クラウド(ソブリンクラウド)事業を受注し、欧州の公的インフラを強固に支える役割を担い始めている。

欧州のクラウド大手「OVHcloud」のオクターブ・クラバ最高経営責任者(CEO)
欧州のクラウド大手「OVHcloud」のオクターブ・クラバ最高経営責任者(CEO)

同社の創業者であるオクターブ・クラバ最高経営責任者(CEO)は、主権とは「データやインフラ、そして戦略的な選択のコントロールを維持しながら、自らAIを革新し展開する能力のことだ」と語った。同氏は、技術の成熟により「4年前に10億ドルを要したAIのインフラ投資が、現在では1億〜2億ドルで同等以上の性能を実現できるようになった」と指摘した。豊富な技術者と質の高いデータが揃う欧州にとって、インフラ構築のハードルが劇的に下がった今こそが、反撃に転じる最大の好機であると強い自信を示した。

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文=高杉明

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