スマホもなく、ブラウザもなく、AIへの接点もない
製品の側面を超えると、状況はさらに芳しくない。アルファベット(Alphabet、GOOG)は、30億台のデバイスで稼働するChromeにGeminiを統合し、世界をリードするスマートフォン用OSであるAndroidを支配している。アップル(AAPL)はiOSを保有しており、ますます魅力的なAI機能を組み込んでいるように見える。マイクロソフトには、目立ったモバイル分野での存在感がなく、相当な規模を持つブラウザも保有していない。もしAIによる支援が、生産性スイートではなく、デバイスやブラウザに本来備わるものになれば、マイクロソフトの歴史的優位性は大部分が失われ得る。さらに、伝統的にGitHubやVS Codeを通じてマイクロソフトの環境で活躍してきた開発者たちが、Claude CodeやCursorへと急速に移行しており、これは市場の力学に影響を与えるほど重大だ。
立ちはだかる課題
地平線上には、もう1つの懸念があるかもしれない。AIが自律的にタスクを実行するエージェントへと進化するにつれ、作業を遂行するモデルのほうが、それを支えるプラットフォームよりも重要になる可能性が高い。現在、マイクロソフトは競争力のあるフロンティアモデルを保有しておらず、これは弱点となる。このことは、価格設定についての疑問を提起する。マイクロソフトの事業は、Microsoft 365、Copilot、GitHubのシート単位(利用者数単位)の課金に依存している。エージェント型AIは、当然ながらシート数ではなく、計算資源の使用量や達成された成果に基づいて価格が決まる。主導的なモデルを持たず、シートベースの課金体系をとる企業は、いずれの移行に対しても十分な備えがないという状況に陥りかねない。
これは、マイクロソフトが終わったことを意味するわけではない。Azureは正当な事業だ。企業との関係は強固だ。しかし、民主化、手頃な価格のモデル、社会的許可の獲得に言及したナデラのWSJとのインタビューは、自信に満ちたプラットフォーム戦略というよりは、まだ完全には成し遂げていない戦略的方向転換に向けた道のりを、自ら語っている組織のように映るのだ。


