企業のトップ層における女性の比率は、近年低下している。税務・アドバイザリーサービスのネットワークであるグラントソントンのレポート「Women in Business 2026」によれば、シニアリーダー職に占める女性の割合は現在31%で、2025年の34%、2024年の35%から下がった。世界経済フォーラム(WEF)の「Global Gender Gap Report 2025」も、女性が労働者の41.2%を占める一方で、世界全体のリーダーに占める女性は28.1%にすぎないと指摘している。
女性の取締役会への参画も減少している。グローバルな経営コンサルティング兼エグゼクティブサーチ会社であるエゴン・ゼンダーの調査によると、世界の新任女性取締役の比率は2020年の17.2%から、2022年に16.3%、2024年には14.2%へと一貫して低下した。さらに、Administrative Science Quarterlyに掲載された最近の研究では、より著名な取締役会に就任することが男性には追加の機会への扉を開く一方、女性にとっては不利に働き、将来取締役ポストを得られる可能性をむしろ下げることが示されている。
女性は複数のリーダーシップ階層で地位を失いつつある。その背景を理解するには、女性がトップに到達した後に直面する現実を、より詳しく見つめ直す必要がある。
女性をリーダーシップから押し出す力学
女性をリーダーシップから押し出している要因の一部は、研究者が「ガラスの崖(glass cliff)」と呼ぶ現象に関連している可能性がある。ミシェル・K・ライアンとS・アレクサンダー・ハスラムは、British Journal of Managementでこの用語を提唱し、女性は注目度の高い役割を得るようになっても、男性よりもリスクが高い、あるいは不安定と見なされるポジションに就きやすいことを説明した。
現在も、ガラスの崖は企業の女性リーダーに影響を与え続けている。最近では、ベスト・バイのCEOだったコリー・バリーが、同社の売上が伸び悩むなかで退任し、後任に最高顧客・製品・フルフィルメント責任者のジェイソン・ボンフィグが就いた。バリーは2020年4月、パンデミックによる不確実性が最も高まっていた時期に任命された。当時は外出自粛命令により、ベスト・バイのような実店舗型小売への来店がほぼ不可能だった。同様に、コロナ禍の最中にデンバーの地域交通局(Regional Transportation District)のCEOに任命されたデブラ・ジョンソンも、安全面の懸念と利用者減に直面するなかで、退任する意向を最近表明した。いずれのケースも、CEO職は不安定な局面で与えられ、その困難を乗り越えるのは容易ではなかった。
別の要因として考えられるのが、経済の不確実性である。以前に報じたとおり、景気後退は女性のリーダーシップ進出を後退させ得る。労働市場の環境が悪化すると、新規のリーダー採用に占める女性の比率は小さくなる傾向がある。労働統計局(BLS)によれば、失業率は2024年4月の3.9%から、2025年4月の4.2%、2026年4月の4.3%へと着実に上昇している。実際、不確実性が高まり、軟化する労働市場のなかでは、リーダー職に就いている、あるいは目指している女性が最も大きな損失を被りかねない。
職場で女性リーダーが受ける監視の厳しさや、言語化されない期待も影響している可能性がある。Administrative Science Quarterlyの知見によれば、取締役会における女性は男性よりも厳しい精査と非公式な義務を課されやすく、そうした圧力の心理的負担が、追加の就任を目指す意思に影響し得る。これらの条件が重なることで、女性がリーダーシップを発揮しながら舵取りすることはより難しくなり、ときに高位のポジションから押し出される。
リーダーシップにおけるジェンダー平等がもたらす事業上の価値
リーダーシップのジェンダー平等は、称賛に値する目標であるだけではない。ビジネスにとっても有益だ。グラントソントンの調査によれば、ジェンダー多様性のあるリーダーシップチームは、意思決定、イノベーション、成長の面でより良い成果に寄与する。さらに、ジェンダー平等戦略と関連して財務パフォーマンスが改善したと報告した企業は22%にのぼる。
その事業上の根拠は、人材や投資機会にも及ぶ。回答者の過半数は、企業のインクルージョンへのコミットメントが応募先を決める要因になると述べ、また36%の企業は、投資家からシニアマネジメントのジェンダーバランスに関する証拠提示を求められたと報告している。リーダーシップにおけるジェンダー平等を育む企業は、より競争力が高く、レジリエントな組織を築いている。
女性が活躍できる職場をつくる
女性をリーダーシップから押し出す条件は現実に存在する。しかし、それを変える機会もまた現実にある。機会を前進へと転換するには、企業が女性をどう支援し、擁護するかという点から、採用や昇進の仕組みをどう設計するかという点まで、複数のレベルでの行動が必要となる。
同レポートでグラントソントンは、企業はまず「取り組みを、持続的で測定可能な進捗へと転換すること」から始めるべきだと提言する。具体的には、ジェンダーバランスのとれたリーダーシップと事業成果の結びつきを明確にし、主要な意思決定の役割において女性が意思決定の場に席を持てるようにし、進捗を従業員、投資家、そして将来の応募者に対して透明性をもって共有することを含む。
マッキンゼーのレポート「Women in the Workplace 2025」も、複数の戦略を示している。マッキンゼーによれば、公正な採用・昇進の運用は、女性のキャリア前進の基盤である。それらのプロセスが不十分であれば、トップ人材が見落とされ、意欲が低下し、優秀で(あるいは将来優れたリーダーになり得る)高業績の従業員ほど離職しやすくなる。
マネジャーもまた重要な役割を担う。マッキンゼーは、定期的なチェックインやコーチングから、包摂的な実践を一貫してリーダーシップに組み込むことまで、女性のキャリア成長を能動的に支援するためのツールをマネジャーに備えさせることを推奨している。スポンサーシップも、マッキンゼーが重要領域として挙げるもう1つのポイントだ。スポンサーシップおよびメンタリング・プログラムの中で明確な役割とコミットメントを定義し、スポンサーと支援を受ける側の双方が、実際の機会につながる信頼ベースの関係を築けるよう支援する研修への投資を促している。
女性がリーダーシップで後退しているのは、野心や能力が不足しているからではない。しばしば不安定な役割に置かれ、景気後退の局面で押し出され、あるいは男性の同僚が必ずしも直面しない追加の圧力に疲弊しているのだ。研究は、女性を押し出している要因と、女性が去るときに生じるコストを明確に示している。残るのは、それに基づき行動する意思である。そうする企業は、その過程でより強く、より成功する組織を築いていくだろう。



