3週間前に指摘していた買い戻しと、報道の誤読
私たちはこれをリアルタイムで指摘していた。3週間前の売りについて書いた「1兆3000億ドル(約209.3兆円)の半導体株売りとその月曜日の反発」で、評価モデルを回す機関投資家は、彼ら自身の数理が「手を出すな」と告げたAIエクスポージャーを今年に入って買い戻そうとしてきたこと、そして今回のパニックは、感情と計算がほぼ同じ比率で混ざったまま部屋いっぱいの人間が行動している状態で、均衡点を探しにいく寸前だと記した。記録的な1192億ドル(約19.19兆円)とは、その探索が数字として表れた姿にほかならない。
そしてこれこそ、現在の報道が見誤っている点だ。記録的流入は「安全宣言」と読まれ、賢い資金が戻り、再びこの相場に乗っても安全だという証拠とされている。だが、まったく違う。雪崩を打って戻る動きは、売りを駆動したのと同じ行動が、ただ反対方向に走っているだけだ。同じモデルと同じ感情が、今度は売ったときと同じ速度で買いに回っている。
成長株の価値を測る評価モデルは、マクロに反応し企業の良し悪しを測れていない
この往復は、資金を動かすツールについて何かを露呈している。機関投資家が成長株の評価に用いるモデルは、あくまでツールにすぎず、それに依存する人々が認めたがる以上に頻繁に誤る。同じメカニズムが、2025年にアクティブの大型株ファンドの79%をS&P500種株価指数に対して負けさせた。これは過去25年で4番目に悪い成績である。
5年のうち4年も単純な指数に負ける手法が、企業の良し悪しを測っているとは言いがたい。好調な雇用統計、そして原油安と情勢の沈静化を受け、3週間で1兆ドル(約161兆円)規模の投げ売りから記録的流入へと振れた。その間に動いた実情報はすべてマクロであり、世界がAIの計算能力をより必要としているのか、あるいは不要なのかとは無関係だった。どちらの振れも、機関投資家が自分たちのポジションを付け替え、それを企業観として語ったにすぎない。
資金の出入りに惑わされず、株価ではなく事業を保有せよ
記録的流入の週に陥りやすい誘惑は、その数字を「確認」と受け取ることだ。3週間前に画面が真っ赤(株安)に染まったとき、それを「判決」と受け取りたくなったのと同じである。どちらも同じ誤りを犯している。フロー(ファンドへの資金の出入り)を企業に関する情報として扱ってしまうが、実際は、それを動かす人々に関する情報なのだ。次の雇用統計、次の金利ショック、次の四半期で、素晴らしい企業が「3倍」ではなく「2倍」にとどまっただけで、資金はまた反対方向へ雪崩を打つ。
ボラティリティは、多くの投資家にとって景気後退以上に害をもたらす。こうした往復を、パニックで売り、熱狂で買う理由にしてしまうからだ。収益が複利で伸びる企業は、今四半期も、次四半期も、その次も、今週のフローがどちらを向いていようと決算を出し続ける。次の「記録的な金曜」がどちらの方向で来ようとも、その前に決めておくべき問いは、自分が持っているのは事業なのか、それとも株価なのかという点である。フローはノイズ(雑音)だ。3週間前とまったく同じ場所に立ち続けている企業こそがシグナル(信号)である。


