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政治

2026.06.25 14:45

日本人はまだイーロン・マスクに憧れている? 米国の若者が「社会主義」に向かう理由【クラファン1400万円達成記念】

小説家・真山仁氏、国際政治学者・同志社大学大学院教授三牧聖子氏(撮影=曽川拓哉)

小説家・真山仁氏、国際政治学者・同志社大学大学院教授三牧聖子氏(撮影=曽川拓哉)

「日本人は、まだイーロン・マスクに憧れていますよ」

『ハゲタカ』シリーズなどの経済小説で知られる作家・真山仁氏は、米国政治外交を専門とする三牧聖子氏との対談でそう語った。

6月12日、実業家のイーロン・マスク氏が創業したSpaceXが米ナスダックに上場し、同氏は人類初の「トリリオネア(個人資産1兆ドル)」に達した。しかし極端な格差や生活コストの高騰に直面するアメリカの若者たちの間では、行き過ぎた資本主義の象徴への反作用として、インフラや医療などの生存基盤を求める「社会主義」への共感が広がっている。

切迫した現実を直視し争点を明確にするそういった米国に対し、日本は閉塞感を抱えながらも本質的な問いから目をそむけ続け、「圧倒的なリーダーがすべてを解決してくれる」という根強い幻想にとらわれているともいえる。

そんななか、真山氏が開始した、小説『デフォルトピア』(財政破綻した近未来の日本を鮮烈に予測活写するディストピア小説)出版のクラウドファンディング(日本の“破綻”を読者と共に描くー真山仁『デフォルトピア』共同制作プロジェクトが支援総額、実に1400万円を超えて(6月25日時点)話題だ。氏の挑戦は、日本人の「思考停止」を打ち破るための挑戦といえるかもしれない。

そして、氏のこの活動を紹介した記事クラファンで発表予定「日本財政破綻」の未来恐怖小説。米政治外交の専門家が読んだ でこの挑戦に共感を寄せた、国際政治学者でアメリカ外交が専門の同志社大学大学院教授三牧聖子氏と真山氏との対談が実現した。

【累計270万部超『ハゲタカ』小説家のクラファン1300万円突破記念対談】「日本が財政破綻したら」アメリカはどう反応するか に続き、対談の様子を紹介する。


財政破綻を「自分ごと」にするクラウドファンディング

真山仁氏(以下、真山):今回、クラウドファンディングをやっている理由の一つは、不特定多数の人に取材したいからなんです。

財政破綻がもたらす具体的な影響については、対談の前編でもお話ししました。ただ、専門家への取材で描ける範囲だけでは十分ではない。財政破綻は、その国で生きる一人ひとりの暮らしに影響をおよぼすからです。

「自分ごとにしましょう」と言うだけでは、人は変わらない。自分ごとというのは、10人いれば10通りあります。こちらが「これがあなたの問題です」と言っても、本人が腹落ちしなければ意味がありません。

ハラ落ちするには、自分で考えなければならない。当事者として関わらなければならない。だから、クラウドファンディングを通じて読者にも小説の制作に参加してもらい、その人たちの声を拾う必要があるのです。

たとえば、テレビ番組で街頭インタビューをよくやっていますが、あれは街の声そのものではありません。新聞記者をやっていたのでわかりますが、実際には賛成と反対が10対1、20対1だったりする。しかし番組上ではバランスよく見せるために、イエスとノーを均等に並べているわけです。

本当に話を聞きたい人ほど、最初からは取材に応じないものです。人に話を聞いているうちに、「私も話していいですか」と少しずつ加わってきてくれる。そういう緩やかな自発性がないと、本当の声は掴めない。今回のクラウドファンディングでは、そうした声を拾いたい。

三牧聖子氏(以下、三牧):つまり、今回のクラウドファンディングは制作の資金を集めるだけでなく、日本の財政破綻を自分の身に起きうることとして考えるための参加の仕組みでもあると。

対談は真山氏の事務所で行われた
対談は真山氏の事務所で行われた

真山:そうです。財政破綻をただ怖い話として読むのではなく、自分ならどうするのか、自分の暮らしはどうなるのかを考えてほしい。不特定多数の人が関わるプロジェクトを通して小説を書こうとしているのは、そのためです。

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文=加藤智朗 編集=石井節子 撮影=曽川拓哉

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