アメリカはもう「寛大な同盟国」ではない
三牧:トランプ政権は、戦後80年の国際秩序のために費やしたお金を、アメリカにとっての「持ち出し」だったと見ています。これからは、同盟国から防衛費でも対米投資でも、どんどん回収していくという発想になっています。
トランプ政権の強い要求を受け、NATO加盟国は2025年の首脳会議で、防衛・安全保障関連支出を2035年までにGDP比5%へ引き上げる目標に合意しました。さらに2026年6月、アメリカは危機時にNATOへ割り当てる戦力を削減すると発表しました。
これは同盟国を広く支えるという、従来型の姿勢からの転換と見ることができます。こうした動きをふまえると、日本が仮に財政破綻したとき、アメリカが同盟国だから無条件で助けてくれるとは考えられません。
助けてもらいたいなら、アメリカに従い、どんな改革を求められても受け入れることになってしまうかもしれない。昔のような「寛大なアメリカ」は、もういないと思います。
では、中国はどうか。中国は助けてくれるかもしれません。ただし、無条件ではない。中国には覇権への欲望がある。日本を自分たちの側に引き寄せるためなら、「助けるけど条件がある」と言ってくる可能性はある。
例えば台湾問題に口を出すな、安全保障でアメリカ側に立つな、といった要求が出るかもしれない。アメリカに従うのか、中国に条件付きで支援されるのか。どちらにしても従属することは避けられないという、ひどいオプションしか残らないかもしれません。
真山:まさにそのひどいオプション、日本が究極に追い詰められた時のことを私は小説に書きたいんです。日本には言霊信仰があるからか、ひどいオプションを想定したり口に出したりするのを避ける傾向があります。せめて小説で、危機を目の当たりにして、考えるきっかけをつくりたい。
アメリカが助けてくれない、となったとき、おそらく助けてくれるのは中国だけでしょう。中国とすれば、アメリカがいなくなった後、隣国の顔をして日本に恩を売っておけば、後々言いなりにできるわけですから。
三牧:中国は新しいアメリカになるかもしれない。
真山:はい。アメリカとの相互依存関係も、ついに変わるかもしれないですよね。



