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欧州

2026.06.23 16:00

モスクワ製油所の心臓部を穿つ ウクライナは複雑なドローン攻撃をどう成功させたのか

ロシアの首都モスクワ市南東部にあるモスクワ製油所で、ウクライナのドローン(無人機)攻撃に際し、燃料貯蔵タンクが爆発して蓋が吹き飛んだ様子。ロシア側の防空ミサイルが直撃したとみられている。ソーシャルメディアで共有された動画から

今回、ウクライナの多数のドローンがロシアの防空網を突破したのは確実であり、ロシア側でもこの製油所への直撃が15件以上あったと報告されている。

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防空網が破られた場合、別の形態の防護手段が頼みの綱になる。対ドローン用のケージやネットなどだ。モスクワ製油所の一部施設にもこうした防護措置が施されていた。ある動画には、ドローンが目標の15m以上うえに張られた防護ネットに衝突し、想定より早く爆発するところが映っている。だがその直後、爆発で炎上・飛散した破片が下方の設備に引火し、火災が起こっている。ただ、こうしたネットがもっと有効に機能したケースもあったのかもしれない。

ロシア側は今回の攻撃から、対ドローン防衛の面で汲むべき教訓が数多くあるだろう。とはいえ、開戦から4年以上たち、ウクライナのドローン攻撃がますます破壊力を増す一方で、ロシアの地対空ミサイルの備蓄は危うい水準に減少しているとみられる現状では、手を打つのは手遅れかもしれない。少なくともモスクワの製油所では、すでに被害が発生してしまった。

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追い詰められる製油所

ウクライナ人の間では、次に攻撃されるロシアの製油所はどこになるかと、「製油所ビンゴ」のような話が冗談で交わされることもある。もっとも実際のところ、こうした攻撃は華々しく見えても、必ずしも大きな実害をもたらすとは限らない。炎上する石油貯蔵タンクは劇的な光景だが、被害を受けたタンクの交換は容易であり、実際、被害を受けた製油所はたいては数週間で通常の操業に戻っている。ロシアの製油所のなかには、何度も攻撃を受けながら稼働を続けているものも少なくない。

一方で、ウクライナ側による目標の選定や照準の精度が向上しているのも確かだ。FP-1のようなドローンは現在、Starlink(スターリンク)衛星通信網に接続し、操縦士が映像で確認しながら終末誘導を行えるようになっている。以前のドローンは衛星航法に依存していた。これはジャミング(電波妨害)やスプーフィング(なりすまし)を受ける可能性があり、そうでなくても精度が劣っていた。映像による終末誘導なら、製油所内の特定の設備を正確に狙うことができる。

今回の攻撃では、製油所に2基ある「AVT-6」と呼ばれる設備のひとつにドローンが命中した。AVT(常圧・減圧管状蒸留装置)は製油工程の中核設備で、原油を灯油や軽油(ディーゼル燃料)、ナフサなどの各留分に分離する役割を担う。減圧工程では重たい成分の沸点を下げることで、それらを分離しやすくする。貯蔵タンクと異なり、AVTは高価であり、交換も容易ではない。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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